第241話 告白

「この前はありがとう。俊介君と遊びに行けて楽しかった」


「こちらこそ。結衣と遊べて楽しかったよ」


「よかった。俊介君にも楽しんでもらえて」


「結衣と一緒にいて、楽しくないと思う人なんていないよ」


「ありがとう。お世辞でもそう言ってもらえると嬉しいよ」


「お世辞じゃないんだけど」



 俺は当たり前な事を言ってるんだけど、結衣はそれをお世辞に感じてしまうようだ。

 やっぱり葉月に告白されたせいか、彼女もいつもの調子じゃないように見える。



「こうして考えると私と俊介君って付き合いが長いよね」


「そうだな。中学時代からちょくちょく話していたけど、委員会とかの仕事抜きで会話したのは高校からじゃないか?」


「確かにそうだけど、それでも私はよく覚えてるよ。中学時代俊介君と話したこと」


「よくそんな古い事覚えてるな」


「もしかして俊介君は忘れちゃった? 私と話した事?」


「忘れてないよ。俺も結衣と話していた時の事はよく覚えてる」



 確か委員会の時困ってる結衣を助けたのが話し始めたきっかけだったっけ。

 それから彼女が悩んでいることがあったら相談にのることが増え、茉莉が俺達がいる中学に入学した後は司も含めて4人で話す事が増えた。



「うん。あの時から俊介君と一緒に過ごせて楽しかった」


「俺だってそうだよ。今まで結衣と一緒に過ごせて楽しかった」



 だがその楽しい日々も終わりが近づいている。

 結衣と葉月が付き合っていたら、その日々も全部なくなってしまう。



「(これから結衣と一緒に過ごせないのはしょうがないとしても、自分の気持ちにはちゃんと蹴りをつけたい)」



 このままもやもやした気持ちを抱えたままこの後の人生を過ごすのは絶対に嫌だ。

 結衣には負担をかけてしまうかもしれないけど、自分の気持ちを伝えてこの気持ちをスッキリさせて終わりたい。



「結衣」


「どうしたの、俊介君?」


「実は俺がここに来たのはちゃんとした理由があるんだ」


「それってどんな理由なの?」


「俺は結衣に‥‥‥結衣に告白しに来た」


「えっ!?」



 結衣も戸惑っているが、ここまで言ってしまった以上言うしかない。

 男は度胸って言うけどその見せ場が今だ。



「ずっと前から貴方の事が好きでした!! どうか俺と付き合ってください」



 驚き戸惑った様子の結衣を前にして俺はそう言った。



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