第219話 ミステリアスレディーの実家
「紺野先輩、まだ家につかないんですか?」
「もう少しよ、頑張って」
「そう言われても学校を出て40分経っていますよ。本当にこの道であってるんですか?」
さっきまで黙って紺野先輩の後ろをついて行ったけど、ここまで遠いとなると不安になってくる。
「もしかすると倉庫に連れてかれて拉致されとかないですよね?」
「貴方は私の事を何だと思ってるのよ。そんなことなんてしないわ」
紺野先輩はそう言うけど不安しかない。
だって噂では親は裏稼業で生業をしている人だって話もあるし、そう思うのも仕方がないだろう。
「あれ? この辺って商店街ですよね?」
「風見君はこの商店街の事を知ってるの?」
「はい。小さい頃はよくこの商店街のお祭りに行きましたし、直近では結衣と2人で文化祭の出し物に使う段ボールを探しに来た時ここに来ました」
結衣と2人で来た時、俺はこの商店街に来ていた。そこでダンボールを集めるために、色々な所に声をかけたのを覚えている。
「それなら話は早いわ。あそこの曲がり角を曲がった所に私の家があるわ」
「曲がり角っていっても、ここって商店街の中ですよね? 住宅地ではないですよ」
この商店街を見てもらえればわかるけど、人が住むような場所ではない。
どちらかというと店が立ち並んでいるので、買い物の際に行くような場所である。
「そこに私の家があるのよ。いいからついてきて」
「わかりました」
紺野先輩と一緒に商店街のアーチをくぐる。
商店街は今でも人が多くいて、活気に満ちていた。
「相変わらずこの商店街は人が多いですね」
「これでもショッピングモールが出来てから、人が少なくなったのよ」
「そうなんですか?」
「それこそ私が小学生の時はもっと人がいたわ。貴方もこの商店街に来たことがないかしら?」
「俺の家からこの商店街は遠いですからね。それこそ春に行われる桜祭り以外は来たことがありません」
桜祭りでさえ小学生の時に行った以来で、中学生になってからは全く行ってない。
部活が忙しかったというのもあるけど、そもそも商店街まで距離があるのであまり行かなかった。
「それは残念ね。また来年の春もやるはずだから、ぜひ結衣ちゃんと来て」
「何で結衣と行くこと前提なんですか?」
「それを私に言わせる気?」
「すいません」
この人は俺と結衣の事をどこまで知っているのだろう。
でも彼女の目を見ていると俺の考えていることは全てお見通しなのかもしれない。
「着いたわ。ここが私の家よ」
「ここって‥‥‥中華屋ですよね?」
「そうよ。ここが私の家」
紺野先輩が家といった場所。そこはこの商店街の中心にある中華屋だった。
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