第216話 お出かけの約束
「こうして俊介君と並んで歩くのって久しぶりだね」
「そうだっけ?」
「うん。文化祭の時一緒に段ボールを持ち帰った以来じゃないかな?」
「文化祭の後、星乃や委員長達と打ち上げをしただろう? あの時も一緒に帰らなかったか?」
「あれはプライベートで遊びに行った時だから。学校から制服を着て一緒に変えるのは久しぶりだよ」
「そう言われると確かに下校の際2人で一緒に帰ることはなかったな」
結衣と帰る機会があったとしても葉月や紺野先輩達と一緒にいた気がする。
あの時は何故葉月が結衣と一緒に帰りたがったのかわからなかったけど、今思うと葉月は葉月で色々と思惑があったみたいだ。
「だから久しぶりにこうして話せて嬉しいな」
「俺もそうだよ」
「えっ!?」
「俺も結衣とこうして2人で帰れて嬉しいって言ったんだ」
それが今の俺の素直な気持ちである。
結衣と2人でこうしてゆっくり帰れるのが素直に嬉しかった。
「そういえば俊介君、あの約束覚えてる?」
「約束?」
「夏休み終わる前にした約束、2人で映画に行くって話」
「そういえばそういう話をしたな」
夏休み序盤ショッピングモールで遊んだ時、映画に行こうという話になった。
文化祭や陸上の秋季大会が重なったせいでうやむやになっていたが、結衣は覚えてくれていたらしい。
「もしかして俊介君、私との約束を忘れてなかった?」
「忘れてないよ。ちゃんと覚えてる」
「本当?」
「本当だよ。当日は結衣が選んだ服を着ていくから、楽しみにしててくれ」
「わかった」
よかった。どうやら結衣がなんとか機嫌を直してくれたみたいだ。
そしたら後は映画に行く予定を決めないとな。
「そしたら結衣はいつが予定が空いてる?」
「私はいつでも大丈夫だけど、俊介君は部活とかないの?」
「部活はあるけど、この時期は試合もないから大丈夫」
俺達の部活は駅伝大会に出ないので、今年はこれ以上大会はない。
なので今まで土日も大会の為ずっと家で調整をしていたけど、それもする必要がなくなったのでいつでも遊びに行ける。
「そしたら今週末はどう? 日曜日だったら練習もないし1日遊べるよ」
「そしたら日曜日に行こう。映画は私が見たいものがあるんだけど、それでいいかな」
「俺はそれでいいよ」
「そした今日の夜また連絡するね」
「わかった」
結衣が選ぶ映画か。一体どんな映画なのだろう。
だけど結衣は俺と違ってセンスがある。なので映画も面白い物を選んでくるに違いない。
「あっ!? 私の家だ」
「そしたらここでお別れだな」
「うん。また後で連絡するね」
「あぁ。待ってるよ」
それから結衣と映画に行く約束をした俺も彼女を見送って家へと帰る。
家に帰ってチャットアプリを見た俺は彼女と何の映画を見るか話し合うのだった。
------------------------------------------------------------------------------------------------
ここまでご覧いただきありがとうございます。
よろしければぜひフォローや★★★の評価、応援をよろしくお願いします。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます