第182話 おすすめの店
「ふぅ~~~、いっぱい食べたな」
「もうお腹一杯だわ」
さっき店員さんが運んできてくれた料理を俺達は堪能した。
結衣の方を見ると、彼女も美味しい料理を食べれて、満足そうである。
「そういえば風見と茅野さんってこの後予定ある?」
「予定? 特にはないけど‥‥‥」
「私も」
「それならこれから3人で別の場所に移動して、もう少し話の続きをしない?」
「私は別にいいよ。俊介君は?」
「俺も別に構わないけど。いいのか? クラスの集まりなのに勝手に抜け出したりして」
「大丈夫よ。1次会はこのファミレスでやるって企画したけど、その代わりに2次会は各自でやってって話してあるから」
「そうか。それなら問題はないな」
「どうしたの俊介君? 何か気になる事でもあった?」
「まぁ、ちょっとな」
俺が気になっているのは、ファミレス内にいる紺野先輩達である。
さっきから遠巻きに葉月達の席を見ているが、一向に何もしようとしない。
それがさっきから不気味に感じていた。
「(一体紺野先輩達は何を考えているんだ?)」
そんなことを俺が考えても仕方がないのだろう。
せっかく委員長が俺達と話したがっているのだから、今は余計なことを考えない様にしよう。
「それじゃあお会計をして外に出ましょう。クラスの人達には私が伝えるから、先に自分達の食べた物のお会計をして頂戴」
「わかった。そしたら行こうか、結衣」
「うん」
2人で席を立ち、会計の方へと足を向ける。
その時紺野先輩達がいる席を横切った。
「俊介君、今‥‥‥」
「結衣、早く会計を済ませて外で委員長の事を待とう」
「うっ、うん」
俺と結衣と委員長、3人で別々に会計した。
委員長の分は事前に預かったお金で俺が清算をする。
「ありがとうございました」
店員のお姉さんの元気な声を聞いて俺達は外へ出た。
外へ出た開放感からか、思わずその場で伸びをしてしまう。
「俊介君、そんなに疲れてたの?」
「疲れてないよ。ただなんか付き物が落ちたような感じがしているだけだ」
どうやら予想以上に俺は気を張っていたらしい。
それだけ紺野先輩達のプレッシャーが凄かったのだろう。精神的に疲れるはずだ。
「久々にファミレスで食べたけど、やっぱり美味しいな」
「俊介君ってあまりファミリーレストランって行かないの?」
「最近はな。結衣達といった所だって、イタリアンレストランやカフェだっただろう?」
「そうだね」
「だからこういうチェーン店は久々だったんだ。元々家族で外食もあんまりしないしな」
元々俺の両親が共働きという事もあり、あまり外食はしない。
いつもは家で自分で簡単な料理を作るか、スーパーの総菜で済ませている。
「それよりも俊介君、さっき紺野先輩達が中にいなかった?」
「いたっけ? 俺はわからなかったな」
ごめん、結衣。あの人達が中にいたことは俺もよく知っている。
もっというと俺は紺野先輩とバッチリ目まであっていた。
だけどその時お互い言葉を交わさなかった。
「(あれは私達に触れるなということだろう)」
だから何も言わずに外に出てきた。
関わらない方がいいというなら、その指示に従った方がいいだろう。
「紺野先輩達が出てきたら厄介だから、何か話題を変えないと‥‥‥」
「どうしたの、俊介君?」
「何でもないよ。それより結衣はよかったの? 葉月達の席に行かなくても?」
「うん。山岡さんが誘ってくれたから、今日はそっちを優先するよ」
「そうか。それならいいんだ」
せっかく葉月と一緒に入れえる時間が取れたっていうのに。結衣は謙虚だな。
そうこうしていると委員長がファミレスの外へと出てきた。
「お待たせ! みんなには先に帰るって言ってきたから、もう大丈夫だよ」
「悪いな、委員長。大変だっただろう」
「全然。それよりも早く行こう。私行きたかった所があるんだよね」
「それはどこなんだ?」
「着いてからのお楽しみ。さっき自転車で漕いできた道になるから、一緒に行きましょう」
「わかった」
それから俺達は自転車に乗り移動をする。
ファミレスに取り残された葉月達の事は考えないように無心で自転車を漕ぐのだった。
------------------------------------------------------------------------------------------------
ここまでご覧いただきありがとうございます。
よろしければぜひフォローや★★★の評価、応援をよろしくお願いします。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます