第4話 カラオケにて
今日はカラオケに誘われた。健一君とお出かけだ。そして、カラオケボックスの中での事である。
突然、息が苦しくなる。過呼吸だ。わたしは病気になってから過呼吸を起こす事が増えた。医者の話ではストレスが原因らしい。
オロオロとする健一君に大丈夫だと必死に伝える。自分でも判るがこれは軽い症状で、しばらく休めば治るのであった。落ち着くと、健一君は悲しそうな表情を見せる。
「ゴメン、俺、役に立てなかった」
「誤らないで、もう、元気になったから」
わたしは健一君の手を取ると……。
ラブソングを入れる。流れだすメロディーに二人だけの時間が過ぎていった。運命の出会いに神様は残酷だ、わたしの余命は短い。そう、ドナーの見つかる前に死ぬかもしれないのだ。
わたしがラブソングを歌いきると。健一君は照れくさそうにしていた。
それから、わたしは思いっきって健一君に軽いキスをする。
肺炎予防の為にキスは無しであった。それは頬が赤くなり胸の一瞬のときめきが感じられた。永遠が欲しい、一人で立てない、わたしの弱さを埋めてくれる健一君との永遠が欲しい。
そんなノスタルジックな気分でいると。室内にある電話が鳴る。
終りか……。
わたし達はコートを着ると、カラオケボックスの室内を後にする。高校生だもの、遊びと言ってもカラオケくらいである。結局、そのまま解散であった。大丈夫、今日は特別な日になった。明日も生きて特別な日にしよう。
それから、外に出ると、風花が舞っていた。
冷える訳だ。
白い風花は地面に落ちると直ぐに消えてしまう。風は強く黒い雲が流れる様に飛んでいく。わたしはその雲を写真に納めSNSにアップする。
イイネは付かない。
寂しいか……。
構って欲しいのは人間の本能なのか?それとも、友達がいないからなのか?
大切なのは謙虚である事だ。わたしは自転車に乗り帰路に着く。
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