第3話 想いは日々の生活で
危機の時にその組織の問題点が露になる。うちの家族もそうである。わたしが死の病になった時から父親は対家族関係の本を読みあさっている。要はわたしへの接し方が分らないらしい。
そんな父親など見たくないと反抗期になった気分だ。わたしが父親にパンツ姿でうろつくなと怒鳴ると。
「こ、これは今からお風呂に入るのだよ」
ならば、風呂場で脱げと更にキレる。わたしはコーヒー入れて落ち着こうとする。すると、何故か母親がコーヒーを入れている。インスタントコーヒーに、何故、母親の手助けが必要かと不機嫌が増す。
「佐知はイライラしたときはコーヒーですもの……」
言い訳など聞きたくない。わたしは自室に戻り缶コーヒーを飲む。そう、こんな具合の家族になってしまったのである。
覚えているのはクリスマスパーティーに健一君を招待した時の事で。最初のうちは片言でもコミュニケーションがとれていたが。何を考えたのか両親が二人で出かけてしまったのである。気を使い過ぎだと心の底から思うのである。結局、あたふたしたまま時間が流れて両親が帰ってきた。その後はお通夜になってしまい。クリスマスパーティーは終わった。
しかし、このクリスマスパーティーのイベントはパラレルワールドの事である。
つまり、前回死んだ時のイベントである。更に回想すると、今回のクリスマスは喫茶店で食事であった。健一君と過ごして家に帰ると。
「大丈夫?」
だから、何がだ!と、父親に言い返すと……。
「コンプライアンスが必要だと思ったのだ」
ダメだ、変な本を読み過ぎている。わたしは自室に戻ると缶コーヒーを飲む。さてさて、どうしたものか……。これがわたしの反抗期であった。
***
今日は体調が悪い。体が鉛の様に重い。学校は休もうと思い二度寝する。
気が付くと十時過ぎであった。遅い朝ごはんを食べると携帯を見る。健一君からメッセージが来ている。わたしは返事を返すと再びベッドに入る。
……。
落ち着かない。仕方なく、机に向かうと、簡単な数学の問題を解く。やはり、落ち着かない。わたしは携帯の手帳機能を立ち上げる。入っている予定は病院ばかりである。めいるな、ここは近所の公園に散歩に出よう。冬の公園は花すら無いのであった。わたしはベンチに座り日差しを受ける。
平和だな。
わたしは携帯に夢を書きこむ事にした。それは養護教諭になる事だ。時々保健室で休ませてもらうがなにも言わず温かくむかえてくれる。そう、地元の三流大学では無理だ。勉強したくても、何より体が動かない。わたしは大きく息を吐き青空を見上げる。
うん?何か小鳥の様な物が動いた。それは青い鳥であった。わたしはその小鳥を見つめて、色々感じる。
幸せの青い鳥か……。
携帯を取り出して写真に納めようとすると。逃げてしまった。再び来ないかと静かにしているとまた現れる。しばし、見つめていると大空に飛んで行く。わたしは養護教諭になれる大学のホームページを見る事にした。夢の持ち方は自由だと思うのであった。
***
わたしは今日も保健室で休んでいた。この病気の危険な事は免疫機能が低下する為に肺炎等の感染症に気をつけなければならない。清潔な保健室はそれでも安心できる。わたしはベッドな座りまったりすると、コーヒーを渡される。
長く保健室を使えば好みもわかってくれるらしい。保健の先生に感謝してコーヒーを飲む。
「佐知さんは好きな人がいるのね」
「な、な、何のことですか?」
わたしがうろたえていると。
「時々来る、メッセージをかなり気にしているわ」
ここは素直に認めよう。保健の先生は何も言わずにレターセットを手渡す。
「これは?」
「携帯が普及した時代だから斬新なの特別な日に使いなさい」
ピンク色のレターセットはきっと女子から貰えば嬉しに違いない。わたしはレターセットを鞄にしまいコーヒーの続きを飲む。
生きる意味か……。少し哲学的な事を考えていた。
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