2022/02/24
ロシアのプーチン大統領はドンバスでの軍事作戦を承認したと国民向けの放送で明らかにしたが、ウクライナの首都キエフなどでは空爆が始まっている模様。ウクライナ全土を占領するつもりはないとプーチン氏は言うものの、大軍を国境付近に集めていながら「軍事侵攻などない」とのたまっていた人物の言葉である。信頼出来る要素は毛の先程もない。もっとも、ウクライナを解体するのに全土を占領する必要はない。首都キエフを壊滅させ、大統領らを皆殺しにすれば仕事はほぼ完了する。そういう意味では嘘はついていないのかも知れない。
ウクライナ軍は反撃するだろう。ウクライナ国民も抵抗するだろう。だが戦力、練度、装備、その他諸々に差がある現実。アメリカは48時間でキエフは陥落すると想定していたが、おそらくそんな長くは持つまい。ヨーロッパから国が1つ消えることになる。この21世紀に、帝国主義的野心に基づいた侵攻によって。
アフガニスタンのように国家の内紛によって政権が転覆されるのは、百歩譲って、いや百万歩くらい譲ればまあ仕方ない部分はある、くらいの見方は何とかできなくもないのだが、独立した主権国家に対して「おまえらに主権なんてないから」と外国が武力侵攻し、国家を解体するなど何百万歩譲ったところで許せることではないし、許しては絶対にいけないことである。過去の歴史の中ではそういうこともあったのだろう。だが現代とはその過去の積み重ねの上に成り立っているものだ。なのに積み重ねられた過去を掘り返し、死体を墓から引っ張り出して「我にこそ正義あり」と踊らせるなど、歴史を否定する行為であり、人類を否定する悪魔の所業である。
ウクライナでは予備役が召集され、全土に非常事態宣言が出されていた。しかし後手後手の感は否めない。この先はロシア軍が思うがままウクライナ領土を蹂躙するだろう。勝利を確信したプーチン大統領は、ウクライナ軍に対して「武器を捨てて家に帰れ」とのメッセージを発したそうだが、仮に家に帰ったところでロシア軍は平和裏に支配などしてくれまい。どっちに転んでも戦うしかないのだ。数え切れないほどの死者が出る可能性もある。静寂が訪れるまで大量の血が流される。しかも、それで終わりではない。次はバルト三国だという声もあるが、仮に北海道であっても何の不思議もないのである。
日本のメディアでは、いまだに「何故プーチンはウクライナにこだわるのか」みたいな考察を行なっているが、愚かとしか言いようがない。そんなものは「二十世紀に囚われた老人の妄執」でいいのだ。そこに本質がある訳ではないのだから。プーチン大統領は武力による拡大政策を取ることに決めた。原因が何であろうと、どこにあろうと、そんなことはもはや枝葉の問題である。ウクライナの反対側の隣国である日本は、ロシアの軍事侵攻を現実的脅威として捉えなくてはならない。もちろん中国による侵攻も有り得る。可能性だけを考えて形式的に自衛隊を整備すればいい時代ではもうなくなったのだ。「戦争に勝つ」ことを前提条件として考えねばならない必要性に迫られているのがいまの現実である。日本政府がそのことに早く気付いてくれればと願うところ。
某野党の何たらいう議員は国会で「いまこそ日本の平和外交が云々」とか言っていたらしいが、気が狂っているとしか思えない。ここまで来て、目の前にあることが見えないのか。自分は安全圏にいるとでも思っているのか。平和などという言葉はとっくに失われているのだ。この期に及んで脳内のお花畑を晒すなど、理解に苦しむ。ただ無駄飯を食らっているだけなら苦笑いで済む話だが、本当に日本の未来を憂えるのなら政府に訴えるべきはそうではなかろう。これではもはや日本に対する敵対行為ではないか。外患誘致罪を適用すべきではないかという気がするのは、虫けらがヒステリーを起こしているからだろうか。
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