B-48 エピローグ
―5年後
「302番でお待ちの方~」
「…あ!呼ばれた!!はいはいっ!」
「紡…そんなに急がなくても…」
あれから5年…
俺は26歳になって、紡は24歳になった。
何も無かったか?と言われると…そりゃ、まぁ、色んなことがあったさ…5年も共に過ごせば、色んなことがあって当たり前だろ?
2人のカセットテープは、何本目になったんだろうか…またの機会に…色んなカセットテープを再生してみようか…。
「…凌空!貰ってきたよ!」
「…うん、完璧だな!」
紡が貰ってきたのは住民票。
俺たちは、一緒に暮らすマンションの手続きを終わらせて、紡と俺の住所変更手続きで役所に来ていたんだ。
「これが凌空の分で…これが僕の分っ!」
「なんだか、やっぱ嬉しいよなっ…///」
「…ふぇっ?!どうしたの?…急に!///」
「だってさ…?よく住民票みたら…」
''八神 凌空''
''八神 紡''
『いつか…八神の性を…名乗って欲しいな』
俺らは兄弟、そしてお互いを心から愛する人という事で養子縁組を結ぶことにしたんだ。
周りのみんなも俺らが兄弟だと知ってからは、苗字が一緒でも違和感もなく接してくれて…俺の夢が1つ叶った出来事だったんだ…。
「…苗字一緒って、嬉しいよな…///」
「…僕たち、家族…だもんね…?///」
5年も経ったのにこの初々しさはなんなんだ…
「…そ、そうだな!///」
「…あ〜っ!ダメだっ!ドキドキするっ!」
「…紡…?また誘ってるの?///」
「…凌空のばかっ!まだ昼間でしょっ!///」
「…ふぅん、じゃぁ…///」
「…も、もうっ…!よ、夜ねっ!!///」
「ははっ、ほんと何年経ってもお前はやっぱり可愛いよ…?///」
左手に輝く…オレンジベルトの時計が付いた手で…いつものように紡の頭をわしゃわしゃする俺…。
ネックレスは外した…その代わり俺らは、着いていたリングを交換して…今は、紡の左薬指と俺の右人差し指で光り輝いている。
俺らの恋と共に…支え続けてくれた大切なアクセサリーたち…これからも俺らを見守っていてくれたら…嬉しいな…。
◇ ◇
―その後
深結と陽翔は、ベースとギターを片手に2人で色んなライブハウスで活動をしていて、いつでも一緒に手を取り合って頑張っている。
いつかは2人で、世界に出るんだ!!
そんな大きな夢を追いかけながら2人で切磋琢磨しているようだ。
洸と灯里も長く付き合いを続けて無事にゴールインしたんだ。
洸もちゃんと夢を叶えてパーソナルトレーナーとして店を構えながら栄養指導や個別レッスンを行っている。
息子も生まれたようで、俺や紡にも子供を連れて会いに来てくれたんだ。
やっぱり子どもには「むぐ!」「りっきゅん!」と俺らは呼ばれている…ふふっ、懐かしいよなっ…。
そして…
俺たちは今、飲食店を経営しているんだ。
日中は誰でも来れるような食堂チックな飲食店。夜は一転、ライブバーのようなちょっと大人なイメージの飲食店として2人で色々考えながら楽しく運営をしているんだ。
紡が作る料理は、やっぱり人を幸せにしていてリピートして、お昼に足を運んでくれる人も沢山出来た。
俺は、専らホール担当。やっぱり…料理は難しくてよく分からない…。
あとは…俺と紡目当て(?)の人とか…夜は深結も陽翔もここで演奏を披露しに来てくれたり、それに合わせて俺も歌を披露したりと夜は夜で、なかなか人気も高い。
父さんが残してくれた貯金とお互い社会に出て、蓄えを作ってお店を構えることが出来た。
父さんと母さんが果たせなかった夢を俺らで果たして見せようと…きっとこれが、俺らに出来る最高の親孝行…そう思って2人で始めたんだ…。
紡は料理を振舞って、人を幸せにしたい…
俺は歌を通して、人を笑顔にしたい…
なら、どっちもやってしまえばいいんだ…!人生1度きりだもんな…??
躊躇って後ろを向いてても始まらない…!
前を向いて…突き進むことを忘れないで…!
父さん、母さん
そして、紡が俺に教えてくれたんだ…。
「凌空〜!!!そろそろ開店するよ〜!」
「…ああ!さてさて、今日も頼むよ〜?
「…ん、んはっ!き、キスは…いいから!早くエプロン付けてっ!///」
「…ははっ!はいはいっ♪」
今日も、これからも…2人だけのカセットテープへの録音は続いていく…。
俺らのカセットテープは、きっとこれからも色褪せることはなく、ずっと輝いていくはずだ…。
[完]
カセットテープのような恋をして… -笑わない王子×泣き虫僕っ子- 翔(カケル) @kuuramu
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