B-47
田舎から都内に戻ってきた俺たちを、真っ暗な夜空が出迎えてくて…そのまま俺たちは、2人の思い出の場所へ向かって行ったんだ…。
「…いつ来ても、やっぱり綺麗…」
「ああ、ここは変わらないよな…」
「…うん、ほんとだね…」
「…ここから、始まったんだよな…?…俺らの恋…」
初めて紡とここに来た時は、お互いに父さんや母さんのことを話し合い気持ちを分かちあって…
俺は、紡に一目惚れをして…お互い一目惚れだと気付いて…そしてお互い、どんどん距離が近づいて行き、両思いだと気付いた…。
その後、紡とこの楽しい日々を歩んでこなかったら、俺らがずっと知らなかった真実も知ることが出来ず…
俺らのカセットテープはずっと止まったままだった…。
「…紡…?」
「…うん…?」
「…俺さ…お前に出会えて…ほんとに良かった…」
「…っ!///それは…僕だって…同じだよ…///」
「…すごく濃い数ヶ月だったな…」
「…うん…」
このなんとも言えない気持ちは、お互い同じはずなんだ…でも…俺が伝えたいことはそこじゃなかった。
俺はそっと紡の両手を手に取り…
「…紡…?」
「…り、凌空…?!///」
「父さんと母さんの事…正直にお互い辛かったよな…?」
「…うん…ちょっとしんどかったかな…」
「でもな…?俺らはもう1人じゃない…」
「…っ…///」
「…これからもきっと…辛いことも悲しいことも絶対に出てくると思うんだ…それでも…俺らなら…どんな逆境も絶対に超えて行けると…俺はそう思うんだよ…?」
「…っ……り…凌空…っ///」
「…だから、これからも変わらずに…俺のそばに…いてくれるよなっ…?」
俺の愛の告白に…今までのしんみりとした空気は、またどこか温かさを取り戻していて…
「…もちろんだよ…こんな僕だけど…ずっと…凌空のそばにいたい…絶対に凌空から、離れたくなんかないんだ…!」
これだけ泣いて、もう枯れて出てこないはずの涙を優しい笑顔と共に…紡は俺にみせてくれたんだ…。
カセットテープは、上書きは出来てもどこまでもは録音出来ない…必ず限界が来るんだ…。
何度も書き換えてしまったらテープも伸びてしまうし、どこかで音の歪みも出てしまう…。
ならその時は、また新しいカセットテープに思い出を書き込んでいけばいいんだ…。
紡…?次は、どんな事を2人で新しいカセットテープに書き込んでいこうか…?
「…紡…?」「…凌空…?」
「…ずっと…」「…これからも…」
「…愛してる…」「…愛してるよ…」
付き合い始めた頃とは、ちょっと違う思いを込めて…俺らはその場で…誓いのキスを交わした…。
そして、今日も2人の思い出の場所は、変わらず綺麗な色で輝いていたんだ…。
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