A-39
―体育祭当日―
全校生徒までとはいかないものの大勢の生徒が大学には、集まり体育祭は、お祭りのように賑わってた。
僕たち、料理部も朝からブースの準備をしたり、みんなに振る舞う料理の調整や準備でてんてこ舞いだった。
いつしかグラウンドや体育館ではいろんな競技が始まっていて、競技の音や白熱した歓声が僕のいるブースにも響き渡っていたんだ。
洸はもちろんサッカーだ。
グラウンドでいつも以上に汗をかきながらチームを引っ張って頑張っていると灯里から洸の写真と一緒に連絡が来ていた。2人とも最近、本当に仲良いよね…。
料理部のブースでいつ誰が来てもいいように待機する僕は、みんなの活躍をLINE越しで応援していたんだ。
「さぁ!看板息子ちゃん~!今日は頼むわよぉ~♪」なんていつも以上に気合いの入る部長に
僕は、なんて答えていいのやら複雑な気持ちだった。なんで、僕が看板息子…なの?
それでも僕の提案した料理を、僕たちが作った料理をみんなに食べてもらえる事に嬉しい気持ちの方が勝っていたのは間違いない。
待機中、徐に軽音部のSNSを覗いてみると体育祭の応援のためにグラウンドに特設会場を設けている最中と深結が投稿していた。
やっぱり…人気のある部活は、規模が違うな…特設会場ってスゴすぎだよ!僕たちなんか、ちっちゃな白天幕のテントなのに…!
僕はそんな事を思いながらSNSの画像を眺めていると、数名の女子生徒たちが僕たちのブースへ向かってくるのが見えたんだ。
「…あ!あそこじゃない?料理部のブース…!」
「…そうよ!あそこよ!あっ、あの子いるじゃん!」
「SNSで見た肉まんの可愛い子!」
まさかのアレですかーーっ!!!
僕は一瞬にして、嬉しいのやら恥ずかしいのやらなんなのやら…分からなくなって、少しだけ顔があおざめていた。そんなことをお構い無しに部長は、クスクスと笑いながら…
「紡…人気者は困るわね…♪」と若干、不敵な笑みを浮かべながら話した、その後…
僕は、大量のジューシーを握りまくる事になるなんて、全く考えてもいなかったんだ…!!
――ブースも大賑わいで運動を終えた人や僕目当て(?)の人も集まってくれて想像以上に大盛況だったんだ。
美味しい!♪と僕たちの料理を嬉しそうに口に運んでくれた人は、みんな喜んでくれた。
その気持ちが嬉しい反面、僕は携帯の時計に目を向ける…軽音部の演奏は、11時30分…。既に時計は11時を迎えていた…。
一緒に演奏を聴きに行こうと洸からも連絡が来ていたがブースは大盛況で、この人の量…。
はぁ、この人の量じゃ、僕…聴きに行けないかも…すごい、楽しみにしてたのに…先輩、聴きに行けなくて本当にごめんなさい…。
そんなことを思いながら、笑顔は絶やさずに食事を提供していた僕に部長がそっと声をかけてくれたんだ…。
「紡、友達が来たら、行ってきなさい」
「…へ!?」
「凌空の歌、ちゃんと聴いてきなさい」
「ぶ、部長…!?何を言って…」
「…シーっ!…」
「…!?」
「戻ってきたら、助けて頂戴ね?看板息子ちゃん?」
そう僕に返答の余地も与えずに優しく微笑んでくれる部長、この人…一体何者なの…!?
そんなことを思いながらも僕は、凌空先輩とみんなの演奏が聴ける事が嬉しすぎたんだ。部長へ本当にありがとうございます…!と頭を深々と下げ、感謝と喜びを僕は滲み出させたんだ。
そんな僕に、部長もニコッと「楽しんできてね」と返してくれた、その間もなくして「紡~!」と洸がやってきて僕は、エプロンと手袋を身体から外して…
凌空先輩のいる特設会場へと向かって駆け出して行ったんだ。
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