A-28
「う、うまぁああああ!!」
僕の卵焼きを口にした4人は美味しい、美味しいと絶賛してくれた。
正直に嬉しかった。でもその反面、凌空先輩の表情も見てみたかった。美味しいって先輩から聞きたかったな…。
色んな事を考えながら、僕も卵焼きを口にした。うん、今日も美味しい!父さん、今日もバッチリだったよ…!
◇ ◇
―食後―
僕は、凌空先輩の分のタッパをそっと保冷剤と一緒に包んで陽翔先輩に渡した。
「凌空先輩に渡してあげてください。お願いします。」
陽翔先輩は「わかったよ♪」と大事そうに受け取ってくれて僕は、ニコッと笑みを先輩に返したんた。
その後、いつも通り授業も終わり、洸と深結は部活へ向かっていった。
(あ、そうだ…料理部のSNSに返信しないと…)
体育祭のメニューの案が決まった僕は、いつも通り食堂で返信をすることにした。
僕が提案したのは
【沖縄の名物料理 ジュージーのおにぎり】と
【なーさんレシピの韓国風 タッカンマリ】
イメージとしてネットで拾った2つの画像も一緒にSNSへ送った。
部長とのやりとりで
《どうしてこの2つにしたの?》と問われた僕は、ちゃんとした理由があって提案したことをしっかりと伝えたんだ。
《体育祭の時期はまだ少し肌寒さが残ります。そんな時はタッカンマリで身体を温められます。そして体育祭なので、どうしてもパクッと食べられるものがいいと思っておにぎりと思ったんですが、栄養がある方がいいと思ってジューシーにしようと思ったんです。》
《タッカンマリに入れる鶏肉は、ビタミンやタンパク質、それに必須アミノ酸も豊富に摂取出来ます。動いた後の身体にはもってこいです。野菜も一緒に煮込むので一石二鳥です。ジュージーは豚肉と生姜、野菜の沖縄風炊き込みご飯で、ビタミンB1が豊富に摂取出来ます。そうすることで体育祭で疲れた身体の疲労回復を促す効果があるかな?って考えたんです。》
ちょ、ちょっと…でしゃばりすぎちゃったかな?そんなことを思いながらもSNSに投稿すると他の先輩たちからも
《え、美味しそう!!》
《作ってみたい!覚えたら家でも作りたい!》
《これならみんなにも喜んでもらえるかも!》
もちろん部長も
《うんうん、ここまで考えてくれていて、断る理由もないわね!紡の案で確定するわね?後日みんなでどうやって作るか検討しましょう!》
僕の提案にみんなが賛同してくれたんだ。
僕の提案した料理をみんなで作って色んな人に食べてもらえる、こんな機会、滅多にないこと。僕は、本当に嬉しかった。
絶対成功させたい、頑張るぞっ!!意を込めながらSNSの返信を終えて携帯の画面を閉じたその時
「紡…!!!」
僕の元に凌空先輩が全速力で駆け寄ってきたんだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます