A-4
深結との再会を果たし、僕たちは3人で大学の正門をくぐり抜けた。
広い敷地
太陽に輝く噴水や芸術品
大勢の在学生や新入学生
心地よい暖かな春の陽気が、僕たちをキャンパスライフへ導くかの様に身体に染み渡っていく。
(これから始まるんだ…)
昂る気持ちを心で抑えながら、3人で入学の手続きを終わらせ、式典に参加したんだ。
-式辞中、僕の横に座った洸は、頭をコクンッとさせ、涎を垂らしながら眠っていた。
なんでだろう、僕は洸がちょっと可愛いなっと思ったんだ。ギャップってやつなのかな??
深結も深結で僕の隣でずーっと携帯いじってる。時折、ねぇねぇ!コレ見て!と僕にも小声で声をかけてくる程だ。
2人を見ていて僕は、とっても微笑ましい気持ちになったんだ。
-式典も終わり、教室へ向う僕たち。3人ともどこかで別れることも無く、同じ方向へ進んで行く光景に「あれ?!深結さんも栄養学部なの??」と洸が驚きながらも嬉しそうに深結に話しかける。
「そうだよ~!わぁ!3人とも同じ学部じゃん!これは楽しくなりそう~♪それと深結でいいよ♪」
すっかり意気投合した僕たちは、終始笑顔のままで教室へと向かい、オリエンテーションを受けたんだ。
-お昼になり、僕たちは大学の食堂でお昼ご飯を摂ることにした。
昼食中に「3人は部活に入る予定なの?」と深結の話題で花が咲いた。
深結の問いに対して洸は
「俺はサッカー部だな!ずっとやってきたから続けてみたいと思ってるし!」
小さい頃からサッカー少年だったと洸は教えてくれた。栄養学に来たのもちゃんと理由があって、将来自分が、サッカー選手やスポーツ選手を栄養面でサポート出来る仕事に就きたいからなんだとも、やっぱりドヤ顔で教えてくれたんだ。
洸の気持ちをうんうんと笑顔で頷きながら聞いた後、逆に深結は?と僕が問いかけた。
「私は軽音部に入ってみようと思ってて!元々ベースもかじってたし!栄養学をもとにするわけでは無いんだけど…それとね、ここの大学の軽音部…ボーカルがかなりのイケメンなんだよねぇ…」
(そういえば深結…昔からイケメンに目がないんだったっけ…)
照れながら話す深結の言葉には、ベースをやりたい他に何か下心もあるように見えたことは悟られないよう、僕の心にそっと留める事にしたんだ。
「で!紡はどうするの??」
自分の話を終わらせた深結が最後に僕へ投げかけてきた。
「ん~…僕はまだどうしようか悩んでるけど…せっかくなら料理部があるみたいだから参加してみようかと思っているよ」
昔から料理が好きな僕は、栄養学をしっかり学んで将来は自分のお店を構えるのが夢。
ちょっと照れながら2人に話したんだ。僕の話を聞いてうんうんと笑顔で相槌をいれてくれた。
「昔から紡は、料理が上手だもんね!昔食べた、紡のお父さんの料理もすごく美味しかったし!」
なんにも悪気のない深結の言葉に、僕の持っていた箸はピタッと動きを止めてしまい、僕の表情が急に曇ってしまう…
(と…父さん…)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます