A-3
大学の最寄り駅で降りた僕たちは、その後も笑顔で会話をしながら大学へと向かっていった。
(優しそうな友達が出来てよかったな…)
そんなことを思いながら洸と歩いていると
ピコン!
ポケットに入っていた僕の携帯が鳴り、取り出して見てみると、画面にLINEの通知が映し出されていた。
《もう大学に着いた??私は今、駐車場に着いたよ!正門で待ち合わせしよう♪》
「誰からだい???」
会話の途中でLINEが来たから、洸も気になる様子で僕に話しかけてきた。隠すような相手でもないし今後仲良くなれると思って僕は
「幼馴染の
そう笑顔で洸に返したんだ。
とある事情で離れ離れになっていた幼馴染の
「久々に再会するんだー!会えるのが楽しみで!洸とも仲良くなれると思うから一緒に会ってくれないかな?」
嬉しそうに話す僕をみて、洸もニコッと笑顔に「おう!」と答えて僕の肩を叩いてくれたんだ。
《正門ね!わかったよ、友達も連れて行くからよろしくね!》
僕は深結にLINEを返して、洸と2人で正門を目指し歩みを続けていくと、いよいよ僕たちの目の前に大学が姿を現し、待ち合わせの正門も見えてきた。
僕たちのキャンパスライフが始まりを迎えようとしている。正門の前には、僕が知っている深結より少し大人びた姿が目に止まった。
「…紡!!」
僕たちを見つけた深結が正門の前から走って僕たちに駆け寄ってきてくれて「深結ー!」と深結へ手を振る僕。
…!???
深結は、ダーっ!と走ってきたと思えば、そのまま僕の胸にダイブしてきた。
「!??…み、深結!!??」
「や、やっと会えた…あぁ…紡だぁ…」
ワンワンと涙を流しながら、そして嬉しそうに僕に話しかけてくる深結。LINEはしていたものの、お互い会う機会がなく、深結も僕との再会を待ち遠しくしてくれていたんだ。
「ちょ…深結、泣かないでよ。でも昔の通り、元気そうで本当によかったよ。」
「だってだって、もう二度と会えないかと思ってたんだもん…!!」
若干、大袈裟だなと僕は思ったけれど、こんなに再会を待ち侘びてくれていたことに嬉しい気持ちの方が完璧に勝っていた。
僕たちの再会をみて、洸も「よかったな、久々に幼馴染と再会出来て…」とその笑顔とは裏腹に涙が零れないよう、そして僕たちにバレないように声をかけてくれたんだ。
僕も「うん!」とニコッと返してあげた。
「深結?落ち着いた?大丈夫、これからは前みたいにずっと会えるよ?だから心配しないで?」
そっと胸から深結を放し、その言葉に深結も
「…大丈夫!ご、ごめん、嬉しすぎて感情が溢れちゃった。…あれ、隣にいるのが、お友達?」
僕は「そうだよ!」と洸を紹介してあげた。洸も僕の紹介に合わせて、軽く右手を上げ、よっ!みたいな素振りを深結に見せていたんだ。
「…あわわっ!…ごめんなさい!友達と来るって言ったてたのに、初っ端からはしたない姿、見せちゃって…」
慌てながら顔を赤くする深結に
「2人とも、再会出来て良かったな。見ててこっちまでウルっときたよ…」と優しい笑顔で振る舞ってくれて…
「これからもよろしくな!」
「…えへっ!こちらこそ…!紡の友達なら悪い人はいないもんね!」
「なんだよ、それぇ~」
いつの間にか僕ら3人、満面の笑顔に包まれていた。これが僕らの初めての繋がりになったんだ。
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