第24話

 



 大きな爆弾は、思った以上の爆弾でした。


 隣国の王女フェリシア様。

 タイラーの婚約者候補だったのも本当でした。

 隣国側にある辺境領地でのパーティーで、こっそり顔合わせを行ったそうです。

 その帰り道、王女の馬車が襲撃されてしまったそうなのです。

 魔獣のせいだとされたそうですが、どう見ても訓練された動きだったと当時護衛が言っていたのだとか。


 フェリシア様は命は助かりましたが、背中に大きな傷が残ったそうです。

 どうせ隣国との関係を深くする為の婚約なので、タイラーは気にしないと言ったそうなのですが……女心が解っていないですわね。

 候補者のまま何年も過ぎ、最終的にどうするか決める為に、昨年留学しに来たそうです。

 傷物王女と呼ばれ、自国に居辛かったのもあったようですわね。


 学園には通わず、マリリナ様と同じ女学院に通っているそうです。

 そこで何があったのかは、ご本人達しか知りません。

 それで良いのでしょう。

 最終的にマリリナ様がタイラーの婚約者になり、フェリシア様はタイラーの義妹になったそうです。

 侯爵家と縁続きになるのなら、嫁でも養子でも構わん!とフェリシア様は言われたそうですわ。隣国の王……会うのが楽しみになりましたわね。




「まぁ、素敵!なんて面白そうな企画でしょう!」

 ドレスの件をお願いするのにマリリナ様の邸を訪れています。

 お隣にいらっしゃるフェリシア様は、マリリナ様と並ぶと絵画の様に美しいです。

 マリリナ様も儚い見た目ですが、フェリシア様は輪を掛けて美しいです。まるで妖精のようですわ。


「私のドレスは隣国産のものばかりですが、大丈夫でしょうか?」

 まぁ、声まで可愛らしいですわ、フェリシア様。

「むしろ普段は手に入らないドレスですもの、皆様喜ばれますわ。私も着てみたいです」

 つい本心が出てしまいました。



 隣国の王女や学園の生徒ではない公爵家の令嬢までがドレスを寄付してくれた、と言うのはとても良い宣伝になったようです。

 高位貴族の令嬢がこぞってドレスを寄付してくださいました。

 しかも噂を聞きつけた服屋から、型落ちドレスを寄付したいとの申し出までありました。


 ドレスには流行り廃りがありますので、古い型は売れません。

 売れると決まっていれば型直しもするのでしょうが、それで更に売れないと二度手間になるだけですものね。

 寄付された新古品には、お店の名前を明記しましょう。お直しの依頼が入れば、少しは還元できるでしょうか?


 貸し出したドレスは、大幅に作り直す際は引き取りも可能としましょう。

 愛着が湧いて、手放したくなくなる方もいるかもしれませんものね。

 勿論、返してくださるのなら、それはそれでかまいません。

 私もワクワクしてまいりました。



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