第2話 再会?2
「ん・・・ァ・・」
ピピピピ・・・とセットしたアラームが鳴り響く。
時刻は朝の7時を指していた。
「はぁ・・・二度寝が許される世の中になってほしいもんだよ」
寝ぼけた頭をかきつつ、洗面台に向かう。
今年から高校二年生になり、新学期早々に遅刻をしたくない。無遅刻無欠席を続けているわけでないのだが、二度寝で遅刻なんて正直、ダサいとしか思えないのでアラーム通りに起きるようにしている。
顔を洗い、薄っすらと生えた髭を剃った後、リビングに向かうとテーブルにはラップがされた朝食が置いてあり、その上には、今年から受験生になった15歳の可愛い妹が残した置手紙が置いてあった。
『兄さんへ。一応朝ごはん作っといたから食べてね。パンは自分でやってね~
パパとママがいないけど遅刻をしないように』
(・・・ありがたいわ。もう、さつきがお姉ちゃんのようだよ・・・)
四人家族の妹の直江さつきは、出張気味の親父と泊まり込みが多い母に代わって色々と家事をやっている。
俺も出来ることはできるのだが、如何せん適当な性格の為かやらせてくれず、両親不在時はさつきがメインで家事を行っているのが直江家のルールなのだ。
(さてと、お腹もすいたし飯でも食べますかね・・・ジャムあったかな?)
トースターから出来上がったパンを取り出し、冷蔵庫からイチゴのジャムを取り出す。
朝食の卵焼きもまだ暖かいので、インスタントコーヒーを用意してテーブルに着いた。
(テレビはどこも新学期特集ばっかだな。まあ、しょうがないか・・・)
テレビを見ながら携帯を開く。
学校の友人から何通かメッセージが来ており、どれも今日の待ち合わせの時間や始業式後、どこに行くかなんて内容だった。
(お昼前には終わるし、ボーリングからのカラオケもいけるな・・・)
グループの連中に、「了解」と返信しパンをかじる。
テレビのニュースは耳に入ってこず、食べながら考えているのは今朝見た夢についてだった。
(なんで、今更あんな懐かしい夢を見たんだろう…何かの暗示か・・・ん?)
ぼっーと考えているうちに時刻は8時を指しており、急いで制服に着替え身支度をした後、最寄りの駅に向かっていった。
「おーい、遅いぞ。お前、始業式に遅刻寸前とか(笑)」
「うるさい・・・さつきが用意した朝飯が多かったんだよ・・・」
実際は家のマンションのエレベーターが、故障中だったりICカードにお金がなくて電車に乗れずにチャージをして時間がなかったとは言わなかった。
もし、言ったのなら来て早々にコイツに馬鹿にされるだろう。
ちなみに今話をしているコイツは、宮島拓馬(たくま)。
一年の時、同じクラスでいつも遊ぶメンバーの一人。テニス部で、いつもテニスバックで投稿しており、プリントやノートには必ずと言っていいほど折り目がついており、毎回何しに来ているのか疑問に思う俺の友人だ。
「なあなあ、涼ちゃん。今日、転校生が来るって知ってる?」
「転校生?しらん」
「なんか、三姉妹らしくて妹がこの学校に入学するにあたって上の姉貴どもも転校してくるんだとさ」
「妹思いなんだな。三姉妹っていうことは一学年づつにくるのか?」
「そんな感じじゃね?てか、さっき先生の話聞いてて上二人の名前は聞きそびれたんだけど、下の子の名前は盗み聞きできたんだよ!」
「お前さぁ・・・名前なんだったの?」
「えっーと・・・椎名・・・由衣だっけ・・・」
「は?」
春の季節に見たあの夢は、夢じゃなくなりそうな気配がした。
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