10年後は君と

Rod-ルーズ

第1話 再会?

人は人生の中で色々な人と出会う。そして、出会った分だけ別れもあって思い出も残る。

そんな思い出の中でひとしきり輝いた思い出が一つあった。


それは、当時まだ7歳ほどの記憶だけど鮮明に覚えているものでいわゆる初恋の思い出だった。

出会いは、小学校の図書室。雨が降る日で好きだった外遊びに出られず、しょうがないから図書室で漫画を読むことにした。


雨の日だからか普段よりも人の多い図書室で、そこにはいつも変わらず本を読んでいる女の子がいた。休みの日は外に出ることもない子で、休み時間は必ずと言っていいほど図書室で過ごす。

俺はその子に対して興味が僅かながらにあった。


『ねえ、いつも本を読んでいるけどそんなに楽しい?』


『・・・楽しいよ。てか、誰ですか』


『ごめんごめん。俺、直江涼太。君は?』


『・・・椎名由衣です』


それから由衣ちゃんと図書館で話すことが増えた。学年もクラスも特に知らなかったけど、図書室に行けば会えるし話せる。そう思って、僕は彼女に会い続けた。


しかし、ある日を夏休みが終わった二学期になってから彼女を図書室で見かけなくなった。最初は体調が悪いんだ、なんて考えていたけど次の日も次の日も彼女は現れない。

図書室の先生曰く、夏休み中に家の事情で転校してしまったとのことだった。

(どうして、何も言ってくれなかったんだろう・・・)


大切な人との別れはこの時が最初の出来事だった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る