16話 マニュピレーション

「それで、聞きたい事って?」

「解散の理由です」

「2人からは聞いてないの?」

「松蒲さんは彼女が出来たから。浅葱さんは脱退と言っていました」

「それじゃあ納得出来なかった訳ね」

「そうです」

「まぁ、実際どっちも違うからね」

と冷ややかに笑い、あっさりの2人の推測を全否定した。

「じゃあ何なんです「それより、2人の事ヒロとアイじゃなく苗字で呼ぶんだね。俺の苗字も知ってるの?誰から聞いた?それを話してくれなきゃこっちも言えないよ」

【優しそうな口調】を努めているが、掴みかかってでも聞き出したいのが、言葉じりから読み取れる。


私は少し躊躇ったが、事実を話すしか無さそうだ。


「アスタリスクのメンバーから教えて貰いました」


それを聞いた柳は、真顔の奥に怒りを含ませた表情でテーブルを凝視して押し黙った。


「ふーん。ま、そうなると誰かは分かるよね。意外だな。あいつファンと繋がったりするタイプじゃないと思ってたよ」


何も答えないで居ると柳の方から沈黙を破った

「まぁいいや、ここにはそんな長く居れないし、何も話さず帰ってはくれなさそうだし、良いよ別に俺が不利になるような事は何もないから、話してあげる」

柳は私の顔を見つめると、急繕いのアイドルスマイルを向けて

「だからそのカバンの中の物は出さないでね」

と言った


ナイフを持ってる事に気付いていたのか。



「別に責めてないよ。こっちも女の子が1人で相手の指定した店に丸腰で来るとは最初から思ってないよ。行けば仲間が居るかも知れないし、店の人がグルかもしれない。なら武器持って来るでしょ普通」

容認しているとい言う割に圧を感じる口ぶりに、トートバッグの中のナイフを握り締める手に更に力が入る。


「俺だって刺されるのは嫌だし、君未成年でしょ?なら大した罪にはならないし、救急車や警察呼べばリスクがあるのはこっちの方だ。

俺は俺達の個人情報の出処を知りたかった。君は俺の知ってる情報が知りたい。この交換さえ出来れば問題ないはずだ、円満に行こう」


そして、そう手品の種明かしでもするかのように

語り始めた。

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