15話 二次色
緑の担当の
「アイから聞いています。日時は〇日の〇時で宜しいですか?」
という事務的な返信が返って来た。
了承の旨を伝えると、待ち合わせ場所を指定して来たが、意外な事に繁華街にある会員制のBARだった。
余り人に聞かれたくない話をする上に
異性と会うのにわざわざ人目があるBARを指定して来るのは相手なりの思惑を感じざるを得なかった。
柳は、冷静な性格で、特にリーダーと決まっていた訳では無いが、リーダー的なポジションだった。
松浦の裏垢にも写真はあったが、女と写ってるものや、喫煙などゴシップになりそうなものは一切なく
浅葱の様に距離が遠い訳でも無いが、近過ぎないバランスを上手く図れているような印象だった。
この人ならば、もっと別の有力な事を知っていそうではあるが、問題はそれを話してくれるかどうかだ。
待ち合わせのBARには約束の時間の15分前に着いたのに、もう柳は着いて居た。
私の服装をチラッと横目で確認すると
「マスター!VIP借りてもいいかな?事務所の人が急な打ち合わせしたいらしくて」
と店の奥に居る恰幅のいい男性に話し掛ける
マスターと呼ばれた男性は壁にかかっている鍵を取り
「あぁいいよ」
と言いながら柳に投げて渡した。
奥の扉の鍵を開けて、2人には広過ぎる大部屋に入る。
柳は内側から鍵をかけ、ガチャガチャと数回ドアノブを回し、完全に施錠されたのを確認すると
「ここ防犯カメラはあるけど音声は残らないから、普通に話すだけなら何を話しても大丈夫です。
本当に事務所の人を何回か連れて来た事あるんで、疑われもしません」
と飄々とした態度で説明した。
そして今までの紳士的な態度に似合わずソファーにドカッと腰を下ろした。
カモフラージュの為に今日の私の服装を指定してきたのだ。
待ち合わせの日時を決めた時
「服装はスーツかオフィススタイルで来て下さい」
と言われて居た。
この用意周到さがあるから、松浦と一緒に居る事が多いのに彼にはゴシップが無いのだろう。
柳の用意周到な性格には特別彼のファンじゃなくても気が付いて居た。
波風が立たないように過すのが上手いのだ。
人気は5人中4番目と高くは無いのだが、ただ人気が無い訳ではなく
少数精鋭というか、ガチ恋勢が多く、グッズなどの売上総額は2位3位の2人と差程変わらなかった。
ファンの人数が多くなると、当然その分揉め事や厄介事も多くなるがそこは上手く回避しつつ人気は落とさない
アスタリスクの中でビジネスとして1番上手にアイドルをやっていたのは間違いなく柳だろう。
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