14話 R68 G68 B102

暫く無言で居たが後部座席から助手席の浅葱の後頭部に向かって

「もう帰ります」と言うと

浅葱は私が居たことを忘れていたかの様に驚いて振り返った。


お礼を告げて、ドアに手を掛けたが、考えが頭を巡り手を止める

「ここまで来たら、緑の……柳さんにもお話を伺いたいんですけど」

と様子を伺う様に訪ねる。

浅葱は少し考える素振りをしたが、長考はせず

「あぁ分かったよ、俺からも君から連絡が来たら会って貰える様に頼んでおくよ」

と優しく口角を上げながら答えた。

その作り物じゃない笑顔は、殺す覚悟で此処にいる私の心すら揺らす力があるのに

何故彼は自信が持てなかったのだろう。


「あの、最後に一つだけ質問いいですか?」

浅葱は返事をしなかったが、傾聴する気を表す様に首を傾げた


「コウの事、嫌いでしたか?」

浅葱の瞳には一瞬動揺が浮かんだが

「好きだったよ。友達になれると思ってた」

と真っ直ぐな目で答えた。

「今も好きですか?」

「今は…もう分からない」

そう言って、今度は悲しく微笑んだ。

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