11

真っ二つに割れたチケットが、白い光を発しながら、燃え始めた。


「うわっ!」


淡い水色の欠片が二つ、地面にはらりと舞い落ち、純白の焔が、一瞬で桜の木に燃え移る。


火は、瞬く間に全てを呑み込み、


白炎を上げる桜の木の周りで、浮遊していた小さな光の粒子達は、その焔に触れた途端、ぱちぱちと、音を立てながら弾け飛んだ。


それはさながら、いつかの夏祭りで見た、打ち上げ花火のようだった。


「……っ!」


その光景に、僕は思わず両手で顔を伏せる。



…………


…………


どのくらい、そうしていただろうか。


燃え盛る焔と、鳴り響く爆音に、命の終わりを覚悟していた僕は、先程までと打って変わって、辺りが静まり返っている事に気付いた。


「……?」


恐る恐る、顔を上げる。


視界の先にあったのは、錆の着いた、大きい古扉。


桜川中学校の正門前に居たはずの僕は、いつの間にか、見覚えのない、暗がりの部屋に立っていた。

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