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「……」


神秘的な光景に目を奪われ、桜を見上げながら呆然と立ち尽くしていた僕は、桜川中学校に入学する前、友人と交わした、ある日のやり取りを思い出していた。



『楽しみだなぁ、中学校』


『そんなに?』


『うん。紫苑だって見た事あるでしょ、あそこの桜の並木通り』


『ああ、あれね』


『あの綺麗な道を、毎朝歩きながら学校まで行く事想像したら、楽しみで仕方なくてさ』


『桜が散ったら、寂しいだけじゃないか』


『だから良いんだよ。その分、来年の桜が待ち遠しくなる。終わりを知って、初めて僕らは、何かを大事に思えるんだ』


『…桜なんて、どうでもいいよ。君と、学校行けるなら』


『心配ないよ。今度こそは、必ず、一緒に卒業式、出るから』

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