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「…何、これ」


この様な招待を受ける覚えはないし、自分の名前が記されているのが不気味でならない。


何より、中学校周辺に、映画館のようなものはなかったはずだ。


チケットを破いたら案内する、とあったが、一体どこに案内すると言うのだろう。


正直、こんな訳の分からないもの、見なかった事にして捨ててしまっても良かったのだが、ある、一つの言葉が、僕の意識を釘付けにしていた。


『卒業式』


上映されるレイトショーのタイトルが、どうやら卒業式と言うらしい。


ーまた、卒業式。


何処も彼処も、その言葉で染まっている。


いい加減、もう、うんざりだった。


「…いいさ、行ってやるよ」


チケットを握りしめ、僕は呟く。


踊らされているようで、少し癪だけれど、


あれこれ憶測を巡らせて、眠れない夜を過ごすよりかは、きっといいはずだ。



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