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「…以上を持ちまして、…度、…市立桜川中学校の卒業証書授与式を終了致します」




「…っおい、ちょっと、待てって!」


体育館から出て、真っ直ぐ正門へと向かっていた自分の後ろから、五月蝿い声が聞こえてくる。


「待てって言ってんだろ!」


そいつは、僕の肩を掴むと、鼻息を荒くしたまま話しかけて来た。


「…何」


「…っ何、じゃねーよ。

この後、ホームルームだろ。

クラスの皆で打ち上げだってあるのに、何一人で帰ろうとしてんだよ」


相手は、大変ご立腹のようだった。


こっちとしては、知った事じゃない。


心底、退屈だった式が、やっと終わったのだ。


一刻も早く、ここから離れたいと云うのに。

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