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「…君、僕と仲良かったっけ?」
僕の言葉に、相手が大きく舌打ちをする。
「仲良い訳ねーだろ!先生に言われたから、仕方なく呼びに来てやったんだよ!」
なるほど。
彼は、先生のおつかいで、わざわざここまで来たらしい。
「何しようが勝手だけどよ。こっちにまで、迷惑かけんなよ!
お前のせいで、ホームルーム長引いたらどうすんだよ。
打ち上げ遅れたら、お前が責任取れよ!」
余計なお世話だ。
そうなった所で、僕には何の支障もないし、責任を取る筋合いもない。
「だから?僕には関係ないし、君達で好きにやりなよ」
彼を無視して、正門へ向かって、再び歩き始める。
「待てって!卒業証書はどうすんだよ。
一回先生が預かって、ホームルームでもう一度渡すって言ってただろうが」
「あんなもの、要らないよ」
足早に正門を出る。
「友坂!」
後ろで、彼が僕の名前を叫んだ。
今日は、三年間通った中学校の卒業式。
僕にとっては、吐いて捨てるような、ありふれた日々でも、
周りは、その日を祭り事のように、有難がっていた。
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