第17話 要求性能諸元
一人で軍艦を作る訳では無いから、何を作るのか書いてみようと思い立って早数時間。何度か来た報告に何度か中断されながら、船の能力を書いていた。
『夜戦能力、極めて短時間に敵艦を撃沈する武装、複数回使える武装、高い隠密性、素早く撤収する機動性』
すぐに無理と分かったので優先順位をつけた。
『夜戦能力、極めて短時間に敵艦を撃沈する武装、高い隠密性、複数回使える武装、素早く撤収する機動性』
夜戦能力として船室内で完結した方位測定器。強力な兵装として爆雷、魚雷、20-30cm級の榴弾砲、同等の迫撃砲の何れかの装備。隠密性は特殊塗装か潜水か?でも逃げる時には相手も索敵をするから結局可潜艦が望ましいか。なら、見つからない距離から潜航を初めて、元の位置まで潜航したまま往復する能力。波の穏やかな湾になっている場所、岬の横とかに停泊する事を見越してそれを回り込む間だけと割り切れば2時間1キロ程度の潜航かな。複数回の攻撃という点では衝角以外の何でも良いか。でも搭載方法は問題があるな。機動性…今は人力しか無いからな…。
すると海軍司令が人を連れて入ってきた。
「どうしたんだ…えっと…名前なんだっけ…?」
精一杯申し訳なさそうな雰囲気を纏って見せた。
「ミズナシですよ。」
「そうだったミズナシ。今はトレーニングの時間のはずだが?」
「陸軍司令に任せました。私は海軍司令だというのに一隻も船を持っていないのでトネ様に頼んで大工を連れてきました。」
「君は何が得意なんだ?」
大工は大工でも色んな役割がある。わざわざ不得意なことを任せようとは思わない。
「彼は大工とおっしゃいましたが、あくまで家も建てられるというだけで、私は山の奥に引きこもっていた者です。炭焼きなんかが…」
「君には乾留所を任せる!」
「…でも、読み書きができません…」
「そんな事は良い!乾留所ができるまでに数字だけ覚えれば良い。」
「ところで乾留所?初めて聞いたのですが…」
つい熱くなってしまった。隣の…えーっと、海軍司令の質問で気を取り戻した。
「今煉瓦を作っているのは知ってる?」
「はい。土のブロックですよね。」
「ああ。もう試作はできているんだが、あれは鍛冶屋、蒸留所、そして乾留所を作ろうと思ってなんだ。鍛冶屋は知っていると思うけど、蒸留所でも乾留所でも酸や油を作る。火薬の元にもなる。」
「サン?カヤク?」
二人の声が揃った。
「帝国の戦列艦が撃つのは見た事がある?」
二人と頷いた。
「あれは火薬が燃えて力を得ているんだよ。だから火を吹く。」
「…?大砲は火を噴くものだよ。なんで?」
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