第7話 仕事の全体像

「この地図は物の抜け殻だったその『帝国」』の領事館から取ってきたものだ。」


「で、その帝国の攻撃を退けて再植民地化を防げって?」


「そうだ。」


「ギャグでも思いつかないよ。まあ、現状を教えて。」


「巨大な嵐が向かって来ているのが分かったのが1週間前。手に負えないと判断した館の人たちは軍艦と共に逃げ出した。出航した頃にはもうタマがその事を伝えてくれた。その嵐は国民の半数の家を吹き飛ばして行って、今は首都に人が集まった。この辺りは煉瓦造りの建物が多いから殆ど被害はないが、帝国が作った新市街は全滅だ。」


「新市街って…」


「屋台が並んでいた辺りだ。草葺の小屋にしか住む事を彼らは許さなかったからな。」


屋台しか無かった事を思い出した。


「そして嵐の間に目星をつけていた父の元側近達を今回の旅で探して、今彼らはこの館に向かって来ている。」


「敵の兵力は?」


「最低でも120砲級が10隻は来るだろう。」


「戦列艦か?いつ来るんだ?」


「一部ではそう呼ぶらしいな。彼らが帝国に着くまでで2ヶ月、また来るので2ヶ月だから、3ヶ月の猶予がある。それと国としては最低200隻は持っている。植民地にされた30年前にはすでにそれだけ持っていたからな。」


「…こちらの兵力は?」


「今は一切無い。国の人口は5000万位で失業者は1000万人程。彼らが首都に押しかけている。」


「軍隊と周辺産業を作りたいからそこはあまり問題ではないな。問題は鍛冶屋だ。」


「子供の頃はあったが、もう30年も前の話だ。でも、いろんな坑道の記録は残ってるから館に資料を探しに行こう。」


「とりあえず職人の数を早く揃えて。軍隊にはまず装備がいる。その間に僕は戦列艦の対抗策を考える。」


「トネがその手の仕事が得意なんだがな…」


そう言って部屋から出て行った。

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