第6話 王城?

結局農奴王国に雇われることになったので次の町まででは無く、王城まで直接馬車で行く事になった。


途中馬車の中で交代しながら寝て一夜を過ごし、今、ようやく街に入った。


「平屋しか無いのか?」


「ヒラやとは?」


「一階建ての事。」


「…一つを残せばそうだ。」


フェリテの顔が曇る。


「王城…では無さそうか。」


「ああ。」


街は人で賑わっていて、屋台が多く、道の両側を埋め尽くしていた。大通りを進んでいたが、三叉路で馬車の両側が当たるような路地に入って行った。本当に王城に向かう道なのか?と思って聞こうとしたがまたもや表情が険しく、そっとしておく事にした。


 ゆっくりと進んでいくと、道幅が急に太くなった。立ち上がって前を見ると突き当たりに屋敷があった。漆喰さえ塗れば日本の屋敷に間違えそうだった。王城も平屋と言っていたのを思い出して、どんな感じなのだろうと考えていると、そのまま門をくぐって行った。


「ここか?」


「そうだ。ようこそ、我が王城へ。」


会った時ほどではないが、少々気分が戻ったようだ。


その後直接執務室の様な部屋に案内された。しかし、奇妙なことにその間誰とも会わなかった。


「召使いとかは居ないんだな。」


「ああ。彼らを呼び戻すための旅だったからな。この地図を見てくれ。」


一つの大陸が大陸が描かれていた。


「南端の一番広い国がここ、農奴王国だ。」


「周りと同じピンク色だが、何か訳が?」


多くの場合、地図の色分けは重要な意味を持つ。


「西端の国があるだろう。」


国の在り方、王室の色、国の関係。


「あの赤い。あの国の何だったの?」


関係の中でも特に…


「植民地だった。」


「そんな事は聞いてないぞ。」


「すまない。知ったら直ぐにこの国を捨てると思って…」


「そんな非情な男に見えるのか?」


フェリテは目を合わせようとしない。


「そうだ。」


「まあ心配するな。今は逃げないよ。泥舟に乗ったからには足掻かせて貰うよ。」


フェリテの表情が明るくなった。


「でも最後には逃げるんだな。」


「常識をさっさと身につけてこんな所は出て行くよ!」


「そうかそうか。こりゃ学び終わらないように仕事をたくさん出さないとな!」


おっ、冗談が通じる口か。

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