第5話 国王
「続きだが私の配下、我が王国の直属にならないか。国の技術顧問のようなものだ。」
おいおい、こいつ国王だったのか?本人が槍持って戦うとかどんな時代のどんな国だ。
「そもそもどちらの国の国王か分かりません。また、私には常識が無いので、社会について教えてくれるのであればその間はあなたの元で働きましょう。」
これでこの世界で自立する準備はできるよな…?
「勿論いいとも。」
二人しかいない馬車の中、彼の眩しい笑顔が迫る。
「ところであなたの国の名は?」
「まだ無い。」
「はい?」
「実は今日出来たばかりの国で、便宜上農奴王国と呼ばれるが、決まってはいない。今は違うが、私を含め、国民の殆どが農奴だったからという事からだ。」
「農業が盛んなんですか?」
「ああ。世界一だと自負しているよ。ところで弓矢も銃も持っていないようだが、投石器でも使ったのか?」
さっきの襲撃の時の話らしい。
「いえ、私が発明したこの銃で倒しました。」
「敬語は要らん。君ほどの人材は中々いないからな。それにしても変わった形をしているな。」
加速を銃身で行う必要が無く、一般的な銃に無い様な機構があるので、地球のベルギーのP90の様なとても短く、長方形に近い形になっている。
「共通点が金属の弾を打ち出す事と人が抱える事ぐらいしか無いからだよ。」
「…ここまで早く要望に応えてくれる人は君が初めてだよ。」
「ありがとう。ところでどんな仕事をすれば良い?」
少し間があった。
「先ずは軍の装備。銃、槍兵が使える防具、大兵力の移動手段、城に設置する防御用の大型兵器、火矢の様な敵の混乱をもたらす戦術的兵器、攻城兵器、軍艦、それらを作る工場。」
「えっ」
「民に向けては、農機具、馬車、簡単な工具、その他日用品…」
「待って!」
「多いが頼む!」
「いや、量は問題無い。」
そう。量自体はどうとでもなる。ただ問題は…
「他に頼める人はいないのか?」
「…いない。この国には文字を読める人を探すのにも一苦労なほどだよ。」
唖然とした。
「どうして…」
「…城に着いたら話す。その方が分かりやすい。」
その後は当たり障りの無い事を話す他無かった。
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