ちゃんと蝋燭の火は消えた


「何してんの」

「なんだと思う?」

「問いかけじゃなくて咎めたんだよ馬鹿野郎。さっさと戻れや」

「うるさいな。原因になったやつに言われたくない」

「んな思い詰めてんじゃねぇよ早く忘れろよ。覚えてたって何の役にも立たねぇだろ」

「だから聞きたくないって言ってんの。もういいでしょ。どっか行って、気が散るから」

「散らすために居るんだわここに。盆と正月には帰るしこんな事しなくても呼べば帰ってやるから、早よ戻れ」

「……嘘じゃないの」

「嘘だったらまたやるだろお前、まぁ見えるかは分からんけどよ。火でも置いとけよ、消してやるよ」

「ちゃんと消せよ。火事になんかされたら困る」

「減らねぇ口だなこの野郎」

「ふふ。分かったよ。戻るよ」

「おう。ちゃんと飯食えよ」

「お前に言われたくない」

「殴れたら殴ってるぞてめぇ」

「やめてやめて、戻るって」

「分かりゃいいわ。じゃあ、盆にな」

「うん。……あ」

「あ?なんだ」

「ありがとう。」

「は、」

「じゃね。ちゃんと火置いとくからね」

「……おう。忘れんなよ」

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聴し色、廻り合ゐて メルトア @Meltoa1210

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