ひねくれ者ども



死のうとしてた。多分それだけだ。




「そんな所でタバコ吸ってちゃ危ないよ」

『……危ないからいんだよ。邪魔すんな』

「あなたじゃなくて下の通行人が。灰が落ちたらどうするの」

『あぁ……』

「素直に退くんだね。そこから飛び降りたら、通行人は多分タバコの灰どころじゃない迷惑だと思うよ」

「……説教ならいらねぇよ」

『説教じゃないけどね。ただの事実の羅列』

「うるせぇな。……まぁ、そうかもしれんが」

『タバコの灰を気にしてそこを退くぐらいなら一旦こっちに来て話してよ。そんな素直な人がなんでこんな所にいるのか、気になるし』

「面白くねぇぞ、在り来りな展開しかない」

『それが聞きたいんだって。ほらこっち。それとも、コーヒーでも買ってこようか』

「……要らん。喉は乾いてない」

『そっか。じゃあ、お話しよう』




死のうとしてた。多分それだけだ。


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