殺し屋の作り方〜方法日記

@kisaragi328

第1話

僕はある日学校から帰って来たら、食卓に一通の手紙。その横に堅苦しい重々しさを感じさせる封筒がひとつ丁寧に置いてあった。

僕はまだ中学三年生という若々しさ満載の青春をすごす予定もりもりの男子中学生だった。

自分で言うのもあれだがなんだかんだでモテてる気がする、バレンタインも人並みに女子に貰ったし、その中にある手紙は全部〔結城くんへ。〕からだった。運動だって得意だし好きだ。しかし、勉強は大嫌いだ、あんなものを勉強した所で将来役に立つとは思わない。

そんなごく普通の人間だったが、、、

僕の中でこの手紙は読んでは行けないと本能的にそう悲鳴をあげたので、親が帰るのを待っていた。しかし、どんなに待っても親はかえってこない、時計を見た。8時を指している、母親はいつもこの時間はパートが終わっている頃だと思うが...遅い、僕はとてつもなく嫌な予感がした。本能的な危険とはこの事かと頭のどこかで思いつつ、恐る恐る丁寧に置いてある封筒と手紙の傍まで行き透かしの見えない裏返しになった手紙を表に返し、書いてあることを呼んでみた。

『結城 月へ、

お母さんは少しこの世の中にうとましさを感じていました。

貴方の父親は今頃若い発育のよい女の子達とお母さんの月給くらいの値段のお酒を飲んでいるところなのではないでしょうか。

そして、月はもう来年から高校生。義務教育はあと少しで終わりよ。これからの事は自分で決めなさい、お母さんはなにも咎めないし、貴方を叱りません。その代わり自分の価値観に従って後悔のないように精一杯生きなさい。

話がずれたけれど、お母さんは残念ながらパートなのでそこまで大した貯金もなく、貴方に委ねるという形になりましたが、遠回しに言わず、直球で言うなら、先月から家賃の未払い請求が来ています。きっと来月にはこのボロアパートもお金を払わなければ無くなるでしょう。

お母さんは貴方をたくさん、たくさん愛しました。なので今度は自分自身を愛して行きたいと思います。左の封筒の中に食費、もし高校にゆくのなら足りるかは分からないけど学費、大切なものを売って得た家賃 が入っています。

将来に向かって頑張ってください。

今までありがとう。愛していました、さようなら。 結城 淳子 』

と、書かれていた。

あぁ、僕は捨てられたのか。即時にそう察せられた。捨てられたという事実を目の当たりにしても何故か僕は泣けなかった。

封筒の中を見てみたら、中には学費や家賃の分のお金なんか入ってなかった。

ちょっと感動シーンのはずなのに綺麗さっぱり裏切っていくスタイル、母親らしいとふいに笑ってしまうくらいだ。

所謂食費しか入っていなかった軽々しい封筒を手に僕は今日の夕ご飯を買いにコンビニへ走った。

さぁ、どうしよう。来月から携帯も使えなくなり、学校はあと2ヶ月で終わる。

学費はもとから払う必要がないから書くだけ手紙に書いていたのかもしれない。

とりあえずもとから携帯は使わなくても生きていける。しかし住居はどうしようか、もっと安い所を探そうか、探したところで払えない。

2ヶ月分の食費を手に、色々考えた。やけにコンビニまでの距離が長く感じた。

高校はどうしようか、近くの高校にスポーツ推薦で入れるが、学費はかかる。奨学金やらを貰えるわけが無い、今から勉強した所でって感じだし、バイトするか?バイト禁止の学校だから、少々キツそうだ。

売れそうなものもほとんど無いし、売れたとしても数百円程度。そう考えるとこの世のことがちっぽけに感じてどうでもよくなってきそうだった…とりあえず今夜の晩飯の会計をすませ、家へ帰った。


そうして、深い眠りについた。明日のことは明日考えよう、


『ピピピ、ピピピ、ピピピ』と朝から五月蝿い目覚まし音が朝を響き渡らせた。

『カチャ、』と止め、朝自宅をした。

昨日買った朝飯を少し食べ、昼飯分の食費をカバンに入れ、学校へ向かった。

授業は上の空で、昨日あったことを振り返った。不思議と本当に悲しくなんてなかった。心で薄々感じてたのかな?

そうして昼時だ、友達と売店で昼飯を買って一緒に食った。なんだか嬉しかったな。


そんな生活を2ヶ月続けた。

そう、卒業が近づいてきた。

そういえば食費は2ヶ月分のお金しか入っていなかった。とするとあとは自分で何とかしろって事なのか、まあいい、いつか考えよう。


『ピピピ、ピピピ、』『カチャ』

とうとう今日は卒業式、なんだか急に不安が押し寄せてくる。ふと思った、高校の学費どうしよう、バイトも無理だししたとしてもそう簡単に払えない、だからと言って施設にお世話は絶対に嫌だ。僕のプライドが許さないと思う。

困った、中卒でも働ける仕事を探すか。

結論はそうなり僕は残り少ない食費と共に朝をすごした。

卒業式が終わり、泣いている女子たちの間を抜け、僕は帰ろうとした。そんな時僕の袖を引っ張った者がいた。

2組の小田さんだ、

「結城くん、ちょっと裏庭これる?」

そう言われたので特に予定もないので僕は小田さんについて行った。小田さんは、

「結城くんの事をずっと目で追ってたの。

高校は違うけど、私はきっと結城くんがこのままじゃ忘れられないの。だから告白させてください。好きです

付き合って頂けませんか?」

小田さんらしい告白の仕方だった。

しかしながら、僕は小田さんが好きではない、好きでもない子を相手に合わせてまで愛す余裕なんぞ、僕には残っていないんだ。だから、

「小田さんの気持ちはしっかり受け止めました。しかし貴方とは御付き合いできません、僕は今誰かを愛そうとは思えません。ありがとう」

そう放った、そうしたら泣くかと思っていたが、小田さんは「...そっか、わかった!時間を割いてくれてありがとう!またね。」

そう言い、足早に過ぎ去って言った。

そんな感じで卒業式が終わり家に帰った。

一刻もはやく仕事を探さねば、別に高校に行かなくても僕を咎めるものはいないし、行かなくても大丈夫だろう。そう思って学校には何も言わなかった。

中卒の仕事って力仕事ばっかり、面接を受けても何かと難癖をつけられ落とされて行った。

気がついたら高校生活(の時期の)2ヶ月が過ぎていた。僕の住んでいた所は割かし田舎であったため、奥に山がある。

変な都市伝説があり、入ったら傷を負わずには帰って来れない。食料は誘惑だ。

といういかにも都市伝説らしい噂がたっており、自ら入るものはそう多くはなかった。

そして、食費が底をついた日僕はその裏山へ出かけて行った。図書館館で食べられる植物について少し勉強していた。生きていくためにはこれくらいは覚えられた、

そうして明日から家賃は全く払っていないから明日追い出される。ポストに大家から手紙がそう入っていた。

食料採取、知識を付けていたおかげか案外簡単に食料が集められた。火の起こし方も知識として習得していたので、しっかり火を通して焼いた。僕がいなくなっても僕を知る人は遥か彼方にいるのだから心配されることなんて無い。携帯も切れたので連絡先全員パーだ。

そうして寝床は小さな岩の窪みに腰掛けて、寝た。運の良い事にその裏山には毒を持つものや命の危険を脅かす生物はいなかったから安心して寝れた、食料採取も順調だしこのままサバイバル生活を続けるのもアリなのかもしれないと思うほどに充実していた。

衣服も何着か持っていたし洗濯だってできた。

不自由なさすぎて不思議なくらいだった。

そんなある日、いつも通り薄暗くなってきたが食料を探し求めてさまよっていたら、ガサゴソと音がしたので音のした方へ気がついたら向かっていた。

この茂みを抜けたらだ!そう思い勢いよくぬけた、そこにあったのは、紅に染まった地面の上に左胸を抑えて倒れ込んでいるおっさんとソレを見下ろしてる若々しい黒髪の女性であった。女性の手には漆黒に染まった拳銃が一丁握られていた。

僕はすぐさま、これは殺人かな?って思った。普通の人なら怖がって腰を抜かすはずなのに...なぜ僕は全然怖くもないし平然としていられる

女性が僕を認知した瞬間銃口が僕に向き、こう放った「お前、誰だ。今見たものは見ての通り殺人というものだ生憎お前さんが誰かにちくろうとでもする前にお前を処理しなくては行けない。さぁ、お前の事情を聞いてやろう」

そう言った僕は「結城 月 、 15歳母親には数ヶ月前捨てられ、スポーツ推薦で入った高校も学費も払わず高校生になってから1度も行ってない。数日前に母親の残した食費も底を尽き、食料を探し求めてこの山に滞在していたらいつの間にかサバイバル生活を送っていた。

父親はいつか忘れたけど消えた。中卒でも働ける仕事を探したが全てダメで、お金もないのでこの暮らしを続けていた。

僕は生きていても僕の存在を証明できる人はいない、携帯も使えないので母親位しかいないが、母親はもう居ない。生きる意味がわからない。」と、僕はびっくりするほど淡々と自己紹介をして言った。証明になるのかはわからないが、使っていなかったから電源を切ってあったスマホを起動させて、契約期間が切れている画面を女性に見せた。

やせ細った僕を数秒見つめ、こう言った

「よし、わかった。お前のことは本当っぽいから信じる、嘘なら殺す。これからお前が生きていくためのお手伝いをしてやろう。私のとこで仕事をして見ては如何かね?報酬は沢山ある。しかし見ての通り人を殺すお仕事だ。でもお前この死体を目の当たりにしても全然怖気付いたりしてる様子ないからお前に興味を持った。」

そう言った。確かに僕は本当にいつの間にか死んでた死体が怖くない。近所の猫を間違えて自転車で轢いた時も罪悪感は無かったし、罪悪感を抱いたのは小田さんを振った時位だった


「僕を...働かせてください」

そう言った。女性は「いいよ。その代わりこれから頑張ってね、」そう言った。

突然色々なことが起こりすぎて未だに脳が上手く循環してないのかもしれないけど、僕は謎に楽しさを感じた。

女性が車でどこかへ連れていってくれた(死体は掃除屋と名乗るものがそそくさとどこかへ持って行ってしまった)。着いたぞ、と言われ降りた先には周りは背の高い木々やボウボウに生えた雑草達で周りが見えないようになっている中心の寮のような建物の前にいた。

女性と受付嬢的な人が何かを話していた。

女性は僕の方に来て

「今日から殺し屋だ。月、どんな方法でもいい、依頼されたやつを殺せ。警察には絶対バレるな。そしてこのチップを飲め」

そう渡された小さなチップは裏切りなどが判明すると電流が流れて体の中にある水分と合成して感電して苦しみ死ぬチップだと言う。盗聴器も仕込んであるらしい。殺し屋は全員飲んでいるとこのこと。僕はチップを飲み込んで、僕の部屋だといって案内してくれた。殺風景な部屋に最低限の家具。質素で僕好みだった。

お礼を言って、僕はその日久しぶりに柔らかい寝所で夜、眠りに落ちた。

朝目覚めると殺し屋についての資料を読めと、僕に渡してきた。僕は頑張って覚え、銃の使い方や、殺し方諸々教わった。

そうして数週間後、僕に初めての殺人依頼が届いた。

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