第26話

 私の人生には後悔がある出来事の方が多い。

 あの時、あぁしてればよかったなって。あの時、ちゃんとしてればよかったなって。

 でも、後悔しない人生なんてないわけだし、後悔するなんて分かるはずもない。

 だから私は後悔しても「仕方ないな」って思うんだ。次頑張ればいいしね。

 でもね、私が後悔する時って大体悲しいことが多いんだ。何かを失ったような、戻れないという現実を突きつけられたり、未練に追い回されるような感じがして。

 だからね、私は───

「また、一からだなぁ……」

 もぬけの殻となったアジトを見て、悲しまずにはいられなかった。

 アジトの外には争った跡のような光景が広がっていた。

 地面が窪んでいたり、所々焼けたような跡が残っていた。

 ミラじゃこんなに荒れはしない───多分、戦ったのはライダだろう。

「……そっか、襲われちゃったんだね」

 私は抱えていた紙袋をそっと地面に置く。中には今日食べに行ったお店のスイーツ。ミラとソフィアちゃんに食べさせたいなって思ってたもの。

 私は自分が呑気にスイーツを食べていたことに、酷く後悔しちゃう。

 正直、襲われるなんて今まで何度もあったから襲撃されただけじゃそこまで悲しまない。

 皆無事かな? っていう不安はもちろんある。

 でもね───


『ソフィアが捕まった。その他全員は無事。副当主、負傷。現在、決めた場所にて避難』


「こんな置き手紙見ちゃったら……私は後悔しかできないよぉ……」

 涙が零れそうになってくる。手に持った置き手紙がしわくちゃになってしまって、ぷるぷるって震えてしまう。他の皆が無事なのは嬉しいけど、ミラが怪我しちゃったしソフィアちゃんが捕まっちゃったって。

 こんなの、後悔しない方が無理だよ……。

「おじさん……私、怖いよ……」

 毎回、毎回。私は後悔してしまう。

 そして、悲しむんだ。

 でも、私は絶対に悲しむだけじゃ終わらない《・・・・・・・・・・・・》。

「……行かなきゃ」


 まずは皆合流して話を聞かないと。

 後悔と尻拭いと落とし前は───そのあとだ。


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