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相変わらず、ボクは女の子っていいなあ~って思ってしまう。純粋にボクも女の子だったらいいのになあ~って思っている。
富士山を登りながら、そんなことも考えていた。富士山からの絶景を眺めながら。
富士山を登るにつれて、香絵ちゃんも、富士山からの景色に、めっちゃ感動していた。
「うわあああああ、雲の上に立ってる~。凄い~。下に木もいっぱいある~。あれ樹海なん?」
「香絵ちゃん、樹海に落としたろかっ!」
「あんた、師匠に向かって、なんてこと言ってんのよっ!」
「あははははは」
「あっ!そんなことより、なんか、おっきな鳥居、立ってるで~」
「ほんまやなあ~。くぐってみよう~」
みんなで、鳥居をくぐった瞬間、フワーッと白く濃い霧、あたり一面に、たちこめてきた。
それまで見えていた景色も、まわりの友達もみんな見えなくなり、真っ白い霧の中に、美桜ちゃんの姿と、香絵ちゃんの声だけになった。
「なんだか、めっちゃ神聖な雰囲気するね~」
「富士山に、『よくここまで登って来てくれましたね』って歓迎されてるみたい」
美桜ちゃんと、白い霧の中でキスした。
「あ~、富士山に来てまで、そんなことやってる~」
って香絵ちゃんの声、聴こえた。
「まあ、部屋で、いつも見てるけど...」
「きゃあああ、見てたんかいっ!」
「ボクは、女の子になれますように...」
って、白い霧の中でお祈りした。
しばらく美桜ちゃんと抱き合っていたら、フワーッと霧も晴れ渡っていき、また、まわりの景色も、友達も、見えるようになった。
みんなキャーキャー言いながら、富士山を降りて行ってた。友達みんなも、白い霧の中で、それぞれ何かしら、あったに違いないって思った。それこそ、富士山の祝福なのかもなあ~。
「うちらも降りよかっ!」
って香絵ちゃんに言われて、美桜ちゃんと手をつないで降りて行った。
お土産に富士五湖の、ちっちゃくて丸くて可愛いマリモを買った。
宿泊先に着いたら、先生に、
「あやめちゃんは、女子といっしょにお風呂入って寝なさいねっ」
って言われて、美桜ちゃんとお風呂に入った。
「あ~、いいお湯やわ~。修学旅行、ついてきて良かった~」
って香絵ちゃんの声、聴こえた。
「いっしょに入ってるんかいっ」
「あやめちゃんの横で入ってるよ~」
チャプチャプ揺れていた。
体を洗っていたら、
「背中、洗ってあげるね~」
って言って、香絵ちゃん、ボクの背中を洗ってくれた。めっちゃ柔らかい感触だったから、
「おっぱいで洗ってるでしょ?師匠!」
「きゃあああ、わかっちゃった~?」
「ありがとう~」
「いいの、いいの、毎晩、あやめちゃんを愛撫してきたんやから...」
美桜ちゃんとふとんを並べて、手をつないで寝た。
「あっ、もうすぐ0時やから、じゃあ、先に、大阪の家に帰ってるね~。うちは0時をまたげないからね」
って香絵ちゃんの声してきた。
「シンデレラやな」
「そうなのよ」
「なんでやねんっ」
「じゃあ、あやめちゃんも美桜ちゃんも、またね~」
って言って香絵ちゃんは静かになってしまった。
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