第4話転生先は平家?源氏?まさかの皇族!


僕の母親は病弱な人で出産後、臥せっているらしい。なんで「らしい」かというと、僕は母親に会ったことがないからだ。母乳をくれる優しそうな女の人が母親かな?って思ったけど違った。



「お可哀そうな若君。今だに御母上とお目通りもかなわないとは……これもお方様が病にて臥せっているせいですね。

この場所はお方様にとって辛い処でもありますから致し方ありません。ですが、若君はこの乳母が御母上の分までお世話いたしますので御安心ください」


と、言っていたからだ。


乳母か……。

僕の生まれた家は貴族階級なのかな?十二単の女性ばかりだから公家の可能性が高い。

時代は何時だろう?

平安時代から鎌倉時代の間かな?


はっ!?


まさか平家か源氏に生まれ変わった訳じゃないよね?

そんな事になったら破滅だ!


どっちも苦労しかない人生だ。平家なら一族ごと滅ぶ!族滅だ!

最終的に勝利する源氏だってそうだ。

あの一族は身内殺しに関して容赦ない。

頼朝然り、義経然り、義仲然り。




べベンベン!


祇園精舎ぎおんしょうじゃかねの声、諸行無常しょぎょうむじょうの響きあり。

沙羅双樹さらそうじゅの花の色、盛者必衰じょうしゃひっすいことわりをあらはす。

おごれる人も久からず、ただ春の夜の夢のごとし。

たけき者もついにはほろびぬ、ひとえに風の前のちりにおなじ。


ベンべベンベン!



頭に「平家物語」が琵琶と一緒に鳴り響いてるよ。



ぎぃぎゃ~~~~~~~~~~~~~~~(訳:いやだ~~~~!)



「まあまあ、若君。どういたしました?急に泣き出しておしまいになって。御母上が恋しいのですか?」


今まで大人しかった僕が急に泣いた事で乳母が妙な勘違いをした。

いやいや、見た事ない母親よりも自分の未来に悲観してるんです!


あうあうあう(訳:違います!)


「やはり、御心配なのですね。

御母上の桐壺の更衣様は未だ床から起き上がることもままならないようですから。帝も酷く御心配されて二条邸へ何度も使いを送っていらっしゃるようで……」


あぁぁう、あぶぅ(訳:桐壺の更衣?帝?)


「御母上の産後の肥立ちがお悪いだけですから御安心ください。

帝は桐壺の更衣様を愛するあまり大袈裟に言っているだけなのです。若君がお生まれになるまでが大変でしたから、帝も気が気ではないのでしょう」


ぎゃぎゃい(訳:なにかあったの?)


「若君が御健康に生まれた来てくださって本当に良かった……。

産み月を迎えられても一向にお生まれにならず、予定よりも三ヶ月も遅くにお生まれでしたから、皆が心配なさっていたのです。産気づいた桐壺の更衣様にものが取り付いた騒動もございましたから……」


はうはう(訳:もの?)


「大丈夫ですよ。此処は帝が住まう御所でございます。第二皇子である若君に手出しできるものたぐいなどおりません」


あぁう(訳:第二皇子!?)


僕のこと!?

それって……まさか皇族か!

僕の転生先はまさかの皇室だった。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る