第3話可愛い赤ん坊は転生者

                        


ばぶ~っっっっ!!!

ばぶ、ばぶぅ、ぶぶ~!!!



「まぁまぁ、若君は今日も愛らしゅうございますわ」


「若君ほど美しい赤子は今まで見たことがございません」


「このままずっと抱いていたいものです」


「嬰児の今でもこのように美しいのですから、将来は並ぶ者なき美しい宮様に御成りであそばすのでしょうね」


「どんなに素晴らしい親王様になられるのか今から楽しみです」


「まこと、光輝く若君でいらっしゃいます」



なに?何が起こってるの?

??にぎにぎにぎ……ペチペチ???

あら、可愛い紅葉の手!…てっ!自分の手じゃないか!

えっ!?もしかして…小さくなってる?



「どうされたのですか、若君?両手を握りしめなさって」


「なんぞ楽しい事でもあったのでしょう。楽しそうに笑ってらっしゃいます」


「本日も若君は御機嫌ですわね」



ばぶ、ばぶぅぅぅ、ぶぶっっっ(訳:なに、これ、えっ?)

ばぶぅ(訳:しゃべれない?)

ぅぅぅ、ぶぶ(訳:赤ちゃんになってるの?)

ばぶ~っっっっ(訳:どうなってるの?)




最初は混乱しちゃったけど、どうやら僕は生まれ変わったらしい。

所謂、転生ってやつだね。

輪廻転生か。

本当にあったんだね。

知らなかったよ。

その前にいつ死んだ?死んだ記憶がね~~~~!


生まれ変わった先は何故か過去だった。

なんで分かるのかって、だって、十二単の綺麗な女の人達が何時も僕を囲んでいるんだよ?

しかも、周りが御簾だらけだし、屏風もやたらと多い。

夜になると灯は火の光だけ……電気が懐かしい。見渡す限り文明の利器がまったく見当たらない。


始めは映画のセットかと思ってたよ。

赤ちゃん俳優だ!将来はハリウッドだ!とか思ってた僕はアホだ。


でも、まさか逆行転生だなんて普通考えないよ!

ここは未来転生か、異世界転生が定番じゃない?

なんで過去!?

止めて欲しい。

文明の利器に頼り切っている現代人が過去では生きられないよ。

僕は生きていける自信がない。

せめて、せめて、明治維新以降なら何とかな……ならない。無理だ。


今が赤ちゃんだから、ゆっくりと時代に慣れていける事を願うしかないよ。トホホ。

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