第5話 告白

咲月は入学2日目から疲れ切っていた。

朝は布団から出られなかったし、朝ごはんもあまり食べれなかった。だから午前の授業はグダグダだった。いつもなら解ける問題が解けなかったり、忘れ物をたくさんしてしまった。

やっとお昼休憩になり、ヨダレを垂らしながらお弁当の包みを開けていると、だれかに方を叩かれた。振り返るとそこにはさとるがいた。さとるは戸惑いながら1枚の紙をさっきに手渡した。「1人の時に読んでね。」そう言い残してさとるはその場を去った。

お昼ご飯を食べ終えたあと、トイレに行ってさとるがくれた紙を広げた。『昨日は悪かった。謝るついでに言いたいことがあるから、放課後、海岸沿いに来て。』咲月はなんだろうと思いながらその紙を丸めてポケットに入れた。

放課後、咲月は言われた通りに海岸沿いに来た。海岸沿いにはもうさとるが待っていた。

「ちゃんと約束通りに来たよ。言いたいことって?」「まって!まず、謝らせて欲しいんだ。昨日はごめん。あんなカッコ悪い姿を見せて。これからは、もっといい姿を見せるように頑張るよ。だから、その〜、俺らさ、付き合わない?」さとるがその〜っと言った時には咲月の目には涙が溢れていた。

「あんたはホントのわからずやね!私は、あんたがかっこ悪いなんて人生で何回も思ったわ!だけど、さとるがかっこ悪いと感じただけで私は怒ったりはしないもの。だって、私はかっこ悪いけど優しいさとるが好きだったからよ。大好きだったからよ!だから、さとるは今のままでいいんだよ。今のさとるじゃないと、ダメなんだよ。それが分からないなら、お付き合いの話はこっちからお断りするわ。」



「分かるよ」さとるは言った。

咲月はふっと笑って「分かってくれたならいい。」と言った。そして咲月はカバンの中からひとつの包み紙を出した。「昨日、1時間並んでやっと手に入れられたの。『ドレミパン』の新商品。これ、食べたいって言ってたでしょ?」

咲月はニコッと微笑んだ。そして2人はあたりが暗くなるまで一緒に笑っていた。

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