第4話 天使と悪魔
「なに、してるの?」咲月は想像もしなかった出来事が目の前で起き、固まることしか出来なかった。
「やっぱりバレたかー!」さとるは、何もなかったかのようにケラケラ笑っている。咲月はいじめをして、しかも楽しんで笑っているさとるにとてつもなく腹が立った。
パチン!いつの間にか、咲月は、さとるの頬を叩いていた。咲月の目には、怒りと悲しみのこもった涙が溢れていた。
「こんなことして何が楽しいの?さとるはどうかしちゃったの?こんなことして笑っているのは、私の知っているさとるじゃない!あんたは、本当にさとる?」さとるは叩かれたのにまだ笑っていた。
「酷いなー。いきなり殴りにかかるなんて。」そう言いながらジリジリと咲月の近くによってきた。それでも咲月は真剣な表情でさとるを見ていた。
ドカ!さとるは思いっきり咲月を殴った。しかし、咲月も負けずに殴り返した。そして、それと同時に言った。
「私はさとるのことが好きだった!憧れだった!私の前にはいつもさとるがいて、私を光の場所に導いてくれた。それが本当に嬉しかった!だけど、今は違う。さとるなんて大っ嫌い。私は今のさとるには絶対に憧れたりしない!今のさとるは、『天使』じゃなくて、『悪魔』だよ!」私は言いたいことを全てさとるに言った。
「お願いだから、元のさとるに戻ってよ!誰に対しても優しくて、一緒にいると空気が明るくなるようなそんなさとるに、なってよ!なんで変わったのよ、なんで変わろうなんて思ったのよ!このバカヤロー!!!」さとるはハッと目を見開いた。咲月は涙でぐちゃぐちゃになった目をハンカチで拭いた。「次会うときは、『天使』のさとるに戻ってよね!」咲月はそう言い残してその場を去った。
咲月の心は、スッキリと晴れていた。
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