第4話 温泉旅館花べっぷ

路線バスで、別府駅北口に戻りました。 フリー乗車券を見せてからバスを降ります。

別府駅南口にあるコインロッカーにスーツケースを取りに行き、再び別府駅の北口へ向かいます。

途中にある売店で、カルビーポテトチップのりしおと、いかソーメンを買い込みました。 夕食の後、部屋で彼女とまったり過ごす際のおつまみ用です。


今夜泊まるのは、温泉旅館の花べっぷです。別府駅北口から見える真っ直ぐの道路を、200mほど進んだ左側にあります。


一週間ほど前に、岡山市内にあるJTB岡山支店で、列車と旅館の手配をしていたのです。 その際に受付のお姉さんが、「今回は、どういったご旅行なんですか?」と聞いてきたので、「実は、結婚記念日の旅行なんです。」と大嘘をつきました。

「まあ!それは、おめでとうございます。 じゃあ、旅館にも伝えておきますね。」とにこやかに言ってくれました。  本当は不倫温泉旅行なのです。


彼女と、スーツケースをゴロゴロと引っ張りながら、旅館近くまで行くと、中にいた中居さんが気づいて、スーツケースを運んでくれました。


受付横の、和風庭園が見える休憩所のソファに腰掛けて、お茶菓子を食べながらチェックインを済ませます。

しばらくすると、若い女性の中居さんが来られ、「お部屋の準備ができたので、ご案内致します。 今回、ご結婚記念日と言うことで、お部屋を特別室にグレードアップしております。 ご料金は同じです。」とにこやかに言ってくれました。


普通の和室で予約していたので、超ラッキーです。 平日でお客さんが少ないのと、JTBのお姉さんが、うまく宿に伝えていてくれたからでしょう。


特別室に到着しました。

凄く広くて、真新しいです。 手前の部屋には大型テレビがあり、テーブルとソファーが置かれています。


奥の部屋には、カウンターバーを挟んで、クイーンサイズほどもあるダブルベッドが二つ並べて置いてあります。 南側は全面ガラス窓の部屋で、こちらにはマッサージチェアと、眺めを見ながら入浴できるガラス張りのお風呂も付いています。


案内してくれた中居さんから、結婚記念日祝いのペア塗り箸と、ざぼんの砂糖漬けをいただきました。

いい部屋なので、気分盛り上がりです。  彼女は、ペットショップで買ったばかりの仔猫を初めて家に入れた時のように、あちこちを探索しています。

可愛くてたまりません。 膝の上に横にして、猫を愛でるように撫で回しました。


夕食までまだ時間があるので、先に温泉大浴場に入浴することにしました。

露天風呂もあって、気持ち良かったです。

温泉に入ったあと、一階の和風庭園が見渡せる休憩コーナーで待っていると

、彼女が色浴衣に着替えて出てきました。

有村架純に少し似た感じの彼女の、上気した頬がピンク色に染まり、一段と美しいです。 周囲に反対されながらも結婚された皇室の方のように、たとえ太陽と月に背くような行動であったとしても、今の幸せな気分を抑える事はできません。


この後は、楽しみにしていた夕食タイムです。









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