第9話 里帰りand献立

「あと一ヶ月だね。そろそろ作り始めようかな」

 紙とペンを用意するデバネズミ。

 産後の献立で検索する。

 

 高タンパク低脂肪。鉄分、カルシウム。

 葉酸、亜鉛は特に大事。


 出産後の二週間、ここに里帰りする娘。

 一日三食、十四日間。おやつも全て決めておきたい。

 

「そんな事しなくても毎日何が食べたいか聞けばいいよ」

 夫が言う。今日何が食べたい? に答えられない夫が言う。

 夫婦二人なら適当でいいけどね。


 ───献立地獄


 はっきりとした名称がなく認識されない家事の一つ。

 レパートリーの少ない私はまさに地獄である。

 ニュースを見ながら頷くデバネズミ。


 牛乳、牛肉、鮭はNG。食物アレルギーのある娘。

 難しい。妹に全部メニュー作ってもらおうかな。

 妹は管理栄養士である。献立作りが仕事。


 いや、甘えていてはいけない。


 *・で献立作り。


 朝、テレビを見ていると、悩み迷う私の耳に天使が囁いた。

 オノマトペって新しい調味料ですか? 

 シチュエーションってシチューの新メニューですか?

 

 ふざけている場合ではない。

 地獄から天国までの階段を教えられたデバネズミ。

 

 その日の気分を食材の前にオノマトペで打ち込む。

 例えば「暑いから+豆腐」

 何ていう事でしょう! おろし豆腐のハンバーグが出た。


 ちゃんと作り方だって教えてくれる。便利。


 あつあつ、あっさり、カリカリ、こってり。

 シャキシャキ、ふわふわ。ひたひた。ネバネバ。


 面白い。この感覚の献立作りは私に合っていると思う。

 娘の口から出る言葉を拾ってメニューを決めようっと。

 おっぱい+献立=母乳が出るメニューも豊富。


 苦手な献立作りが楽しくなってきた。へへっ。


 夫婦二人の時は、シチュエーションで献立作り。

 『火を使わない』『お財布に優しい』『あと一品』


 定番メニューが増えそうな幸年期。

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