エピローグ エミリアの決断
別れの時が来た。
フローレンスさんと、バルトロメウスさんは自分たちの町へ。(二人は、ルシアさまから仮面を渡されてホクホク)
『白銀の翼』の、アマンダさん、アナベルさん、ケイトリンさんは、任務を終え、オリザさんが待つ拠点の土地へ。(三人は、アンバランサーさまに剣と暗器を再び調整してもらい、オリザさんには、ルシアさまから貴重な魔導書の複製をお土産にいただいたようで、たいへんありがたがっていた)
そしてあたしは――、『白銀の翼』に、勧誘の、ちゃんとした返事がまだできてなかった。
思い切って、
「あの……アマンダさん、あたしを『白銀の翼』に誘ってくれた件ですが……」
あたしが言いかけると
「いいんだよ、エミリア」
アマンダさんが、さわやかに笑う。
「あなたに来てほしい気持ちは今もあるけれど」
あたしの後ろで、離れたところから心配そうにこちらを見ている『暁の刃』の三人、アーネスト、パルノフ、ヌーナンに目をやり
「いいパーティじゃないか、なあ、ケイトリン」
「だね。まあ、今のところ技より運の方が強そうだけどさ。それも実力のうち」
口数の少ないアナベルさんまでが、やさしく言った。
「みんなでがんばってね、エミリア」
「はいっ」
ううう……なんだろう、こうして泣けてくるのは。
「オリザもエミリアに会いたがると思うんだ。機会があったら、遊びに来てよ」
ケイトリンさんが言い、あたしは、なんどもうなずく。
(この先のどこか未来、なんと、あたしはオリザさんと二人で、恐怖の邪神領域を探索することになるのだけれど、これはまた別のお話)
「じゃあ、行くから」
「はい」
涙があたしの目に浮かぶ。
そして、みんなは帰っていく。自らの属する場所へと。
「エミリア、お前、行かないのか……?」
アーネストが、おずおずと言う。
「遠慮しなくてもいいんだぞ。いや遠慮してもぜんぜんいいんだが」
なにをいってるのかわからないよアーネスト。
「ふふふ」
あたしは笑った。
遠ざかる人たちを見送りながら、こころの中で、小さくつぶやいた。
これが、あたしたち。
――われら『暁の刃』、ここに参上!!
「呪われた仮面 『暁の刃』の冒険」 完
呪われた仮面 ――「暁の刃」の冒険 かつエッグ @kats-egg
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます