再会
おれの獅子奮迅の活躍で、おそるべき呪いの蒼仮面を無力化し、捕獲することができた。
しかし、こいつを完全に片づけるには、『雷の女帝のしもべ』の方たちにお願いするしかない。
となれば、一刻も早く、あの方たちの拠点、孤児院ドムス・アクアリスに向かわなくては。
そうしないと、ブルル、おれはこの気持ち悪い仮面をいつまでも顔に貼り付けたままである。
おれたちがこの
おれたち『暁の刃』と『白銀の翼』は、相談の結果、あれをまた使って、五芒星城塞を出ることにした。
なにしろ、エミリアに聞いたら、ここに来るまでの間に、自ら退路をさんざんぶち壊してきてしまったらしい。
おれはあきれたよ。
どうやって帰るつもりだったんだよ、この人たちは。
まあ、これくらいの実力があれば、なんとかなっちゃうのかも知れないけどな。
しかし、ここはへんなところだ。
エミリアによると、塔を上下逆さまに建ててあるそうで、たしかに、階段もへんな風だ。こんな階段を移動できるのは、クモかヤモリだろう。
おれたちが飛びだしてきた五角形の穴も、天井に開いている。あっちが本来の床だってことらしい。ややこしいなあ。
その、天井にある五角形の穴に、また飛びこむのは一苦労だった。
『白銀の翼』の人たちは、超人的な体技で、いとも簡単に天井まで飛びつくことができるのだが、おれたち『暁の刃』に、そんなことのできるヤツは一人もいない。
『白銀の翼』の人たちに、引っぱり上げてもらうしかなかったのだった。
こういうところで、彼我の実力格差を痛感するね。
うーん、でも、いつかはおれたちだって、な。
※ ※
飛び込んでみると、通路の向こうでは、なんと、サバンさんをはじめとする全員が、おれたちを待っていてくれたのだ。(後で聞くと、サバンさん側では、おれたちが飛びこんでからそんなに時間が経っていなかったらしい。時間までおかしくなってんのか、この穴は!)
「おうっ?」
「むっ?!」
「えっ、あなたたちは?」
「これはいったい?」
順に穴から這い出てきたおれたちに、みんなビックリしていた。
なにしろ、入った時から人数が倍に増えている。
フローレンスさんとバルトロメウスさんは、『白銀の翼』とエミリアには初顔合わせだ。
そりゃあ驚く。
そして、最後におれが這いだしたとたん、
「ひいっ、あれは!」
フローレンスさんが悲鳴を上げ、
「「おお、まさに呪いの仮面じゃっ!」」
「むうっ、こいつ、ついて来やがったか?!」
サバンさんがその大剣をかまえ、狂戦士の迫力全開で殺気をぶつけてきた。
目をギラリと赤く光らせ、筋肉も膨張し、今にも突撃してきそうなサバンさん。
とてつもない殺気が、まるで本当の拳のようにおれを直撃し、
「うひぃいいいいっ!!」
おれは一瞬で腰をぬかした。
「ちっ、ちがいます! サバンさん! おれです! アーネストです!!」
尻もちをついたまま、おれは必死で弁解する。
「ああ? アーネストだあ?!」
「はいっ!」
「ほんとかあ? ふざけんじゃねえぞ!」
「ほ、ほんとですぅ!」
「あの……サバンさん……信じられないでしょうが、これには事情がありまして……」
と、エミリアたちが説明してくれて、なんとかおれは、サバンさんに斬り殺されずにすんだのだった。
もう、勘弁してくださいよ……。
せっかく生きて五芒星城塞から帰ってきたのに、味方にやられたんじゃあシャレにならないよ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます