賀来トウヤ
俺は幸運だった。
突然、命がけの理解できない事態に巻き込まれ絶望したがその中では運がいい方だと思う。
まぁ、こんなことに巻き込まれてる段階で幸運とは程遠く、不幸中の幸いってことだけど。
それは命がけの対戦が理不尽な強さ・能力で圧倒されるのではなく、本人の基礎能力をベースにした必殺技を使用するという点だ。
なら、なぜ俺が幸運なのか。
俺がプロの格闘家だからだ。武器の使用が認められない純粋な戦い。それ以外は何でもアリの総合格闘技。
レフェリーはいない。相手の命を奪っても罪に問われないまさに死闘を行う。
だからこそ俺は負けない。どんなヤツが相手でも。
格闘において全く負ける気がしない。
そもそも、素人の奴らは全く分かっちゃいない。
相手と本気の殴り合いをした事があるか? お互いが構えて向き合い、相手の挙動を一瞬たりとも逃さず隙を狙って本気の拳を打ち込む。
分かった気になっているだけ。テレビを見て俺の方がやれるんじゃ? なんて思ってるやつさえいる。
格闘技をバカにするなよ! 対戦を横から見るのと相手を正面に見るのとじゃ、距離感や体感スピードがまるで違うんだ。
いくら素人が身体能力を強化した所で全力で警戒した相手に渾身の一撃など、余程の実力差がないとまぁ当たらない。
それなのに、拳に一点集中。腕力のみの強化。一撃必殺。バランスが悪すぎる。相手だって必殺技を使ってくる。生身じゃないんだぞ?
下手な攻撃なんて軽く避けられて逆にカウンターで一撃だよ。
俺はなってやる。こっちの世界でもチャンピオンに。
築くんだ。俺の世界を。
最もバランス良く強化する為に綿密に計算された配分。全く隙を与えず全身が強化される。
その証拠にもう何十戦と負け無しで勝ち続けている。全く危なげなしと言っていい。
仕上がった体。研ぎ澄まされた感覚。
そんな完璧な状態を前にまたどうやら犠牲者が現れたようだ。
近くのコンビニに買い物に来たその時だった。副業ゲームのマッチング通知が届いた。まぁ運が悪かったと諦めてくれよ。
━━━━ソロバトル━━━━
トウヤVSヨウコ
━━━━━━━━━━━━━
『相手を視認し、スタートとなります』
まさか、女? 表示された写真を見ると驚きの女性がそこには写っていた。
コンビニの中に入ったとき奥にいた女と目が合った。外から見える本が並ぶコーナーの前にいた。
本当にいた…。
『バトルスタート』
【59:59】……
そこにいたのは、黒髪で清楚。まさに美少女と呼ぶに相応しい可愛らしい小動物のような顔立ちの女の子がいた。
やべ。めちゃめちゃカワイイ。こんな子が相手なのかよ。絶対、喧嘩なんてしたことないだろ? 本当、運営も罪な事するよなぁ。
白いニット。ただのジーパン。よく見るような格好のような気がするけど清潔感が半端ないな。
俺はおもむろに距離を詰めて近付いた。あくまでこれは対戦。緊張は保つ。そこはプロだ。気は絶対に抜かない。
相手の反応を伺う。すべての挙動を見逃さない。いつでも来るならこい。
すると、様子がおかしい事に気付いた。
女の子が震えていた。それに涙目。
あーあ。こりゃもう勝ち確だな。
「あ、あの…」
「何?」
「お願いします。許して下さい」
頭を下げて懇願してきた。たまんねぇ。もう我慢できねぇよ。
「いいよ。許してやっても」
俺はおもむろに女の子に近付いた。特に不意打ちなどの素振りもない。
「ほ、本当ですか…?」
「あぁ。でも、分かるよな?」
俺は顔を女の子の耳元に近付けそう囁いた。体をピッタリと密着させる。鼻腔を刺激する良い香り。あぁ、興奮する。俺の問に対し女の子は静かにうなずいた。
「こっちを向け」
「はい…」
まじで可愛すぎるだろ。潤んだ大きな瞳。小さな鼻。透き通る程の美しい肌。見知らぬ男に従わされる屈辱か、恐怖か。俺に見せる表情は戸惑いつつも、ゆっくりと頷き彼女は俺を受け入れた。
「ちゅ…ちゅっ…んっ…」
何度もキスを繰り返すと、予想に反して積極的に応えてきた。清楚でおしとやかな雰囲気からは想像もできない熱く濃密なキスだった。
「んっ…ん……はぁ…っ……」
心なしか頬も紅く染まり、肌で感じる彼女の吐息もまた俺の興奮を昂ぶらせる。舌と舌とを濃厚に絡ませ合う激しいキスは思わず脳がとろけそうになる程だ。
その先へと止まらなくなった俺は指先を彼女の服の中へと滑らせる。指先から感じる彼女の素肌は絹のように柔らかい。
「んっ…くすぐったいよ…」
指先をお腹から腰、胸元へと這わせていき、そのまま洋服を捲くりあげていく。
「やらしい女だな…もう、こんなんだよ」
「恥ずかしい…」
乳房を公然で晒され顔を背ける彼女。その仕草、表情がたまらなく可愛い。
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