第7話 ためいき

今日は下弦の月か…。

このビルも高いだけあって、星々が本当に奇麗に見える。

そんな事でまた死ねない…。



今、日本で、世界は平和である、と回答した人のパーセンテージは僅か二割だという。

悲しいことだ。

そんな風に、心が怯える程、もう明日には生きていないだろう、やせ細って餓死する


カンボジアや、イスラエル、ウクライナ、宗教やらなんやらで罪のない一般人をも

殺し、子供でも容赦ない。


僕は、宗教には全く興味はないが、かといって、キリスト教を馬鹿に思う事は一切ないし、それこそ、イスラム教や、ヒンドゥー教、仏教だって、法に触れない程度に好きな人が好きなように信仰し、心が救われているのなら、それでいいと思う。


しかし、その信仰者がなぜか、お互いを愚かしく思い、どちらが正しいのか、どちらの神が偉大なのか、そんなことはどちらでもいい。どっちを信じても、それに頼る事で心が落ち着くならそれでいいじゃないか。

何故、比べたがる?何故怒り合う?そうして、そんな自由であるための宗教が戦争を始める。

何百人何千人の命が奪われる。

その中には子供が少なくなく含まれる。


何故、戦うのか…。


僕たちには言葉を出す“声”、話し合える口がちゃんと備わっている。

人を殺すな。

話し合え。

そこで、見える偏見や違和感の正体を自分たちに問いかけるんだ。

そこに、戦争はあってはならない。

命は何よりも尊い。



戦争とはまた違う話になるが、僕は常々思っている。

子供を虐待する奴は、今すぐ僕の前に顔を見せろ。

その醜い頬を、ぶっ叩いてやる!

産んだままトイレ、お風呂に置き去りにするな。

そこに産声を上げる可愛い顔をまず、抱き締めるんだ。

自分の子だと、きっと温かくて離したくなくなる。

愛を受けて育っただけではない、子供はきっと多分にいるだろう。

しかし、それを引き継ぐような出産をしてほしくない。

愛せる事が困難だ、と思ったら、避妊手術を受けるんだ。

お金はかかるかも知れない。

だけど、責任が持てないなら、産むべきでない。


産んでおいて、蹴ったり殴ったり、たばこの火を押し付けたり、内臓破裂するまで虐待し、それを何とも思わない。

そんなのは、きっともう人間じゃない。

そういう奴らは刑務所に入っても、根本的にもしかして変わらないのかもしれない。残念ながら…。


それでも願いたい。


命が大切にされることも、命が恵まれる事も、命がいつも、どんな時も、温かい母親と、どんな時も英雄のような父親に、愛されて、親の前で泣いてもよくて、頼る事も遠慮なく出来て…。


そう…この世界中、みんなが幸せになれるように、愚かで、狡猾で、無慈悲な大人がなるべく、なるべく、少なくなることを祈っている。


これは、への皮肉も含まれている。



僕は勉強は出来る。

しかし、それを褒めてもらえいない。

「もっと奇麗に丁寧に書きなさい!“飛ぶ”と言う字はなんでこんな汚くなってしまうんだ!?もっと父さんが書いた“飛ぶ”を見ながら、一万字書いたら今日の勉強は終わりだ」

その汚い字、で僕は夕飯さえ与えてもらえなかった。

これは、今思い返すと、虐待に当たる。


もう無感情のはずの僕の心の底から涙を流す代わりに、雄たけびをして、また心の底に戻ってゆく。


それはきっと、十三年分の澱んだ悪夢が膨らみ過ぎて、心がパンパンだからだ…。



だからって、僕はあの家を置き去りにしたことを後悔なんてしていない。

まぁ、それは向こうもそう思っているだろうから、どちらの後悔もすっぱり切れた。



―独り言終わり―

「はぁ…帰ろ…」

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