第20話 事情徴収

「ふぅ〜、危なかったわいやマジで、息出来んかったしあれ?翔吾?おぉーい」 


コンコン


わざとらしく翔が凍ってる氷塊に手を振り——バキッ


「ふぇ?」

崩れた氷塊から突き出した腕は的確に神楽を掴み目をギョロッと動かし、それに気づいた神楽が目を合わせるとそこには凍傷してしまったのかまだ凍っているのか所々が青白くなっている翔吾が立っていた。


、どうやって帰ってきたのかは後で聞くとして、今は取り敢えずおかえり、しん、ゆ、、ぅ………」


言いたい事を全部言ったのか日に2回も凍らされ体力的にも限界だったのかそのまま倒れてしまった。

世界一下らない体力切れだが……


、親——ピンポンパンポーン


神楽の言葉を遮るように聞き慣れた音が流れると———

『甘咲神楽君、甘咲神楽君〜至急校長室へダンジョン演習の件でお話が有ります。

甘咲神楽君、甘咲神楽君〜至急校長室へダンジョン演習の件でお話が有ります〜

ただいま政府の方をお待たせにして居ますので今すぐ来る様に』


ピンポンパンポーン


「マジかよ、、、」


呼び出しを受け待って居るというのはまさかの政府あった。

これには死闘を制したけど神楽も失笑するしかなかった。


どうやら彼らの正式な再会はまだ先になる様だ。




「ハァ〜じゃあな」


廊下に出ようと扉を開けると隣には帰属契約を交わした天内理穂の姿があった。


「さっきぶりね、ご主人様」

「止めろ誤解を招く」


「誤解では無いでしょ?実際帰属契約交わしたんだし」

「いやそうだが、あっそうだ俺呼び出し食らってんだわじゃな」


面倒臭い!こんな会話聞かれたらどんな事になるかなんて一目瞭然、もう平和な学園生活は無くなると思え!

だから無理矢理にでもスルーしようとすると………


「それ、連れて来なさいよ、従者?奴隷なんだから良いでしょ?それとも何、嫌なの?じゃあ契約のことバラすよ?」


「うぐっお前マジでタチ悪いな?ハァーじゃあ断られたら黙って帰れよ?」

「ふんっ最初っからそうしてれば良いのよ」



半ば脅され仕方なぁ〜く連れて行くことに。

主従関係とは、、、






コンコン


「失礼します、甘咲神楽です」

「おぉ、入ってくれ」


「はい、で実は天内理穂さんも同席したいと、、、」

「うむ、実はその事でも話したいと思っていたのだ、入りなさい」


「大丈夫じゃない」

小声で神楽だけに聞こえる様に言った。


「そだな」と呆れ顔で言い放つ。



「まぁ座りなさい、それでは此方の方が政府の方から来て下さった田中中也たなかちゅうやさんだ」


「こんにちは、二人とも校長さんから言われた通り田中中也です、それで今回呼び出させて頂いた件はですがまず一つ、五大ダンジョンと言われるダンジョンの内の一つ一つの消失、そしてこの校内で熱源探知が謎の高出力の熱を探知しエラーが発生した事についてです」


鋭い目付きで観察する様に見られビクッとした神楽であった。

さらにそれを聞いた神楽は冷や汗ダラケだった。


「あぁ謎の高出力は私ですね〜」

「は?ちょおい少しは躊躇いというものをだなぁ、、、」


あろう事か天内はなんの躊躇も無く真実を暴露した。


「成程そうですか、、、ではあなたは危険人物として観察、、、いえ貴方は必要ありませんね既に手綱は握られて居る様だ」


「成程?手綱?、、、」

「貴方の事ですよ?甘咲神楽さん、貴方達、聖戦をしましたね?、まぁそれは良いとして神楽さん、貴方は奈落の底に着き、竜を倒しましたね?」


「ふぅ〜う、なんの事ですか?」


それが論戦の始まりだった。


「成程、あくまでしらをきると?そうゆう事で良いですね?」

「いえ、本当に知らないもんで、なんせ穴に落ちた事は覚えて居るのですが気づいたらグラウンドの上にいたもんで」


穴の下での事は誰も知らない、また神楽の力では竜が死んでいたところで疑われることすらない。


「、、、実はもう探索者は派遣しており結果が出ているんですよ」


「そうですか、」

「えぇしかもその記録には狼のような魔物の死骸と謎の魔物の大量の血の海を確認したもんですから、さらにあのダンジョンは貴方が壁を壊して落ちたのですよ?これでもまだ認めませんか?」


これで八方塞がりかと思われたが………


「でもほらぁ俺なんで、」

「痛い所を付きますね、はぁまぁ良いでしょうですがお忘れなき様に、もう既には付いておりますので」


「へぇ〜それはそれは、、、」


不味い、何故力の目星がついているなどと言ったのか、、、バレたのかただ発破をかけただけなのかはたまた…………


「今は不確定な事が多すぎるので無理矢理にとはいきませんが、あっあとこの世に不適合者は存在しないと神秘のダンジョン産のアーティファクトで証明されてますので、そうなりますとぉ〜貴方の適性はなんなんでしょかねぇ〜」  


「さぁ〜ご自身でお調べになられたら良いのでは?」  ゴクリ


しんじつを見抜く様な隠しているものが暴れる様なそんな風に見つめてくる中也に恐れを少々抱きながら固唾を飲み込み不自然がない様に取り繕う。


プロの人だ、バレていたかもしれないがその場では何も言ってはこなかった。


「では、ありがとうございました、校長先生、あっ神楽君は後で政府に同行願うからね〜任意同行だけどまぁそれは名目上の話だから強制ね〜」





「ふぅーあのもう戻って良いですか?」

「そうだな、先ずは、先生は事情はよく分からんがよく戻って来てくれた!あと君はもう家に帰りなさい、迎えは家に来るからね、確か三時にはくると思うから」


「わかりました、それではさようなら」

「あっ校長先生さよなら〜」













———「はぁ〜なんか今日は呼び出されてばっかだな、、、ん?懐かしいなVRゲームなんて久しぶりだわ」


そこには埃を被った古びたゲーム機があった。

そのゲームは俗に言うシューティングゲームで世紀末のような世界を舞台にしたMMOオンラインRPGである。


「全く、不便な世の中になったもんだなぁ、、、暖冷房は魔石だし、建物なんて殆どがレンガだし…………


昔とは違い謎の大災害の影響でインフラは殆ど整備されずスマホなども最低限連絡手段として使う事しか出来ない為当然オンラインゲームもVRなど出来るわけが無くかつてハマっていたゲームもすっかり日の目を見る事は無くなっていた。


「あれからもう五年か………、元気にしてるかなぁ、、、 あん時は守ってやれなかったけど………






コンコン


「ノック、あぁもうそんな時間か………






「神楽さまですね?どうぞこちらへ田中様が中でお待ちしております」


使用人の様な人が家から出てきた神楽を車内へと案内し、車に乗り終えると運転席にて運転を始めた。



「やぁさっきぶりだね?神楽くん」


そこにはさっき話をしたばかりの田中中也という人物が居た。

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