第14話 ファイナルフェイズ

「数万の魔力込めた一撃だッ喰らいやがれ!!魔廻まかいッ!!」


『!?強化の音色ッ風域之盤刻ふういきのばんこく

魔力が地を走り空を駆け今までに無い強さの暴風が吹き荒れ龍を中心に守る様に神楽の放った魔廻と言う魔力を自由な斬撃の形を取りながら飛翔していく神楽の中で対物最強の魔力撃の嵐が風の障壁とぶつかった。


幡劍ばんけんッ限界越えるぞッ雷光一閃一閃ッ貫けぇぇぇ!!」





ガリガリッと障壁と魔廻のぶつかり合う様な音を奏でながら更に神楽の放つ一閃により——パリン—『なっ!?』——と飴細工の割れる様な音がその空間全体に響き渡った。









『断解』New




「ッ!?ラぁ゛ァァア゛ァ゛ッ断ッ解!!」

『クククッ面白いなぁッ人間!!——「この野郎がッ黙ってその首寄越しやがれェ゛ェェェ!!」


宙に舞う鮮血は色濃く鮮やかで何処か不思議な見惚れてしまう様なものだった。

だがその鮮血ですらも飾りにありその根本にあるのは神楽により斬り飛ばされた龍の生首であった。





「ハァ、ハァ、ハァ、油断、大敵、、、『ほんとだよな、人間、』


「は、?ガハッ!?いつの間に?鑑定ッ!!」


——ステータス—————————————

 【種族】 幻想龍

 【名前】 フロガレイア

 【年齢】 576

【レベル】 無し


 【生命力】 235597

 【攻撃力】 225186

 【防御力】 175642

  【魔力】 375435

【魔防御力】 128151

  【俊敏】 186557

  【幸運】 130042


【装備】 

【装飾】 


———スキル——————————————

幻想の現実

————————————————————

———称号———————————————

幻想種

————————————————————


「偽りの姿か、、そんなの有りかよ、、、」

『創造の力だからな』


「ガハッ!?『雷撃だけではダメか、岩の牢に包まれて見るのはどうだ?』


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ——と地面が揺れ岩石が剥がれ神楽に向かって一直線に駆けてきた。

神楽は出来る限り避けていたが全てとはいかず死角まからの多数の不意打ちを喰らってしまい最後には無数の岩の餌食と成り果てその伸ばした腕もそのままに飲み込まれゴツゴツとした一つの丸い岩石となった。




『お主、常に重力が増し刹那の間にミンチになれる程の力を加えられても、我と殺り合える程の力を持っているお主なら、な』


瞬間ドゴンッと強い衝撃が何度も、何度も何度も何度も何度もッ空間中に響き渡った。




「よぉ、待たせたな随分とクソみたいな能力だな、『全くだ』」


「現状俺にお前を打ち負かす手は全くもって無いんだが?」

『出来るだろう、貴様なら』

「ハハっ随分とまぁ勝手に期待してくれるよなぁ、取り敢えず首は取らせろ」


文字通りハハっと苦笑すると魔力を剣に纏い体に纏い、浮遊する二つの剣を作ると刹那系三つの刃で背と腹を斬りつけ一つの刃で飛んでくる五つの属性弾を逸らし切り裂きいなした、それは明らかに人智を超越したものであり極度の集中状態にある事が分かった。

神楽から発せられる言葉は最早反射的に思った事を言っていただけだった。



『やっと本気で全力を出してくれたなぁッ人間!!貴様名は何という!!特別だッその名を名乗る事を許そうッ!!』

「神楽、断解断解断解ッ!三斬一閃!!」


爪が欠け剣が欠けた。

血肉を削り削ぎ落とし穿たれ穿たれ斬って穿たれ斬ってを繰り返し消耗し続けた。

だが当然魔物と人間では持ってるスタミナが同じ若しくは拮抗すらしている筈はなくその集中も持ってあと僅かだろう。




『コキュートス、ケラウノス、エクスプロージョン』


それらの魔法は全て無言で防がれ避けられ逸らされた。




「一閃」


その構えは無駄の無く綺麗でそれでも何処までも合理的な構えであった。

濃密な死の気が、予感、殺気が吐き気を催す最悪な雰囲気が、そこには満ちていた。




『残ってるでは無いか、その力、魔力の一滴残らず最適に使い果たせよ、でなければ、

「死ぬ、か、、『あぁ』


「断ち斬れ幡劍——『面白いなぁ神楽ッ我は今猛烈に楽しんでいるぞ!』


今正に繋いでいる言葉は何の意味も無い、だがしかし意識が変わる、それは正しく詠唱に近いだろう。


「翔けろよ刃穿つは無敵——『ならば我も同じく最強で、いや無敵の一撃で相手をしようでは無いか』


無敵の一撃、それは敵の悉くを撃ち破る最強の天災。

大地は割れ溶岩が所々出てきており空気は軋みその地下空間の中には可視化出来るほどの魔量が溢れ出し渦の様に巻き上がりゴウゴウと嵐が襲う。

それは正しく天災の予兆、それに刃向かうのはたった一つの剣を持っただけの青年、最早神としか言い様の無いその龍を此処まで追い詰め神として昇華させたものでもありこの世で最も愚かな最強と言っても良いだろう。



「刹那の間二度は無い——『成程、本当に一ミリ足りとも妥協するつもりは無いのだな、コレは参った、では我も全ての幻想を使いそれに応えるとしよう』



「無敵を斬るは最強——『そして最強を倒す能力は無敵』







「それは正しく無双の一太刀——『今この瞬間この時に限り幻想は現実となる』


幻想を断つ剣龍断ち『百龍武幻』」


百龍武幻それは百を超える本体よりは小さな属性龍を従え無数の魔法と天災を起こしながら全員でブレスを吐く技で有る。

龍斬りとは幻想を断つ為だけに編み出された剣技の究極のひとつで有り相手を傷つけ斬る事を目的とした物では無く龍という人々の様々な思いが連なりとなって出来たそのものをその存在そのものから引き離す技で有りこの世の阻むもの全てを断つ技でも有る。



『見事、だ、、、正に最強の一太刀だった、——「確かに一刀両断した筈だが?」


『そうだな、縦ならもう死んでいたが横に絶たれた、残念ながら傷は治らないがまだ竜としての力は機能している、まぁ今は人一人殺す事も出来んがな』

「そうか、」


二者の会話を遮る様にその地下空間からゴゴゴゴゴだとかゴロゴロなどの音がしだし崩壊し始めた。


『早く行け、このままだとお主まで埋もれて死ぬぞ、あの様な一撃を受けたのだ、無理も無い、だがだからといって時間は待ってはくれん、だから行け』

「そう、だな、、分かっ、、、、——『なッ戯けッ!こんな時に倒れるとはッこの我を倒した者として不甲斐無さ過ぎるにも程があるぞックソ言っても聞けんか、全く死に体の我になんて無理をさせるかッ!!』













その日五大ダンジョンの内一つが点滅し完全に光が消えた。










「ん、ぁ、、あぁ?、あぁ、、、生き、てるのか?——「うん、君は生きてるよ、神楽」


「なっ!?君、は?それに此処は何処だ?何でこんな所に、」


只々青い芝生が何処までも広がっている雲一つ無い晴天に燦々と光が降り注ぐ太陽、そんな世界に神楽はいた。


「此処は僕の世界、僕の心が思う望みの形、そこに君は居る、」

「君は?——「僕?僕の事なんてどうでも良いよ」

「そうは言ってもなぁせめて名前位は教えてくれないか?」


「、、、そうだね、僕の名前は敢えて言うなら、タナトス、かな」


「タナトス、か、、何で俺は此処に居るんだ?」

「ん?、それはね、僕が呼んだんだ、僕はこれでも君の、神楽の事、気に入ってるんだよ?その証に何度も助けて上げたし、もしかしてもう忘れちゃったの?死んだ君を助けて上げたのは僕なんだよ?」


「、なッ!?まさか君はあの宝石の?」

「うん、まぁ正しくは僕の力の一部なんだけどね」

「ありがとうな、それにしても何で君は此処に居るんだ?」

「それ聞く?、僕ねぇ、此処からは出られないんだ、僕は遥むかしから此処から出れてない、僕は少しの自由と力を引き換えに本当の自由を捨てた、」

「そんなのって、、、」


「でも後悔はしてないよ、だって今は君に会えたから」

「そっか、それは光栄だな」



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