第9話 小手先の一手

その人間の全力の攻撃は痛かった。

それと同時に悲しかった、自分は聞いた、なんの為に強くなり、そして耐えてきたのかをそれを聞き、不意にも揺らいでしまった、だから、こんな弱い意志だけども、それでも強い意思が自分にはあった、もしこの人間と全力で戦ったら、どれだけ楽しいのだろうか?と、だから大義名分かも知れないけど応えなければと思った。

だから今から本気を出す。

あの人間を殺す為に、そしてあの人間の意志に応える為に。








『ドラ゛ァ゛アァァァァァァァァァア゛ァ゛ァァァァァア゛ァァッ!!』


「ハハっハハハッそうか、そうかさうか、やっと本気になってくれたんだな、でも、こりゃ死ぬなぁ、かもじゃない、格好はする、でも勝てない、だからこそ、だからだ、お前は格上、でもお前は格上との戦いを知らない、だって居なかったから、でも俺はこれまでに何度となく戦ってきた、だから、此処でお前を超える、今此処でお前よりも強くなってやる


戦いの幕は今再び、神楽の因縁の、そして超えるべき敵として切って落とされた。


まず先に動いたのが魔竜。

魔竜は大地を変形させ、自身を持ち上げ移動しつつ神楽に向かって数十メール代の針山を形成させた。

当然のように大きく飛び退け避ける神楽だがそれは囮で本命は細々とした岩による視界を遮りながらの全方位攻撃の中に忍ばせた右腕による全力攻撃だったがそれは左腕で相殺しつつ全方位攻撃に隙間を作り抜け出した


「大地の操作での岩石攻撃がお前だけの専売特許だと思うなよッ!!」


神楽は地面に着地すると邪魔だと思った魔竜の使っている移動用の大地を腕を地面に突き刺し、前に投げ飛ばすようにスイングすると数メートル程の大きさの岩が魔竜目掛けて高速で飛んでいき真っ直ぐに地割れが起きて魔竜の乗っていた大地が崩れた。

その影響で無防備になった魔竜に追撃をすべく空歩を使い接近した。


「空歩ッオッラァァァァ!!ッ!?避けられた?、!!形態変化か」


『ドォ゛ラ゛ァァァァァァッ!!』

「黒炎ッ不味いッ!!」


そう言いながら地面に手を突っ込み引き出すとその岩石は十メートル代の物だった。

その時神楽は既にそこには居なかったが黒炎がそこには襲い掛かった。

その黒炎に焼かれた所はひどい物でまるで最初からそこには何も無かったかのような消え方であった。

唯一範囲外との差のお陰で何があったのかは分からずとも消された、と言う事は伝わった。


「やばいな、あの炎は当たったら即死、骨すら残らない、防御不可だ、でもあの炎は瞬間出力にどうやら全振りしてるみたいだからまだ勝機がない訳じゃない、でも早い所きりつけないとこっちが終わる」


『グラァァァ?、グラッ』


神楽は信じられない光景を目にした。

それは二つ、先ず一つ目は魔竜があの黒炎を纏っていた事そしてもう一つは火で作られた竜が四体も居た事である。

その事に対して神楽は火の竜だから火竜、火竜は恐らく火天、あの纏ってるのは多分纏炎之装てんえんのそういだろう、と言うふうに目指しをつけた。


「さてと、多分あの黒炎をどうにかしないと攻撃したら俺がダメージ食らって消滅する、多分今の復活だと消滅されると復活出来ないし当たる訳には行かない、それにまだ進化とか昇華っていう見ただけでもやばそうなのが残ってる、こんな所で消耗するわけには行かないんだが、あっぶねぇやっぱり遠距離もダメか、、、」


『ガァ゛アァァァァァァッ!!』

「一か八か、試してみるか?俺の今の再生はかなり高レベル、多分腕が触れるだけなら一、二秒は耐えれる、失敗は多分死、成功も勝てるわけじゃない、なら答えは決まってる、やるしか無い、行くぞ!!」


そして神楽は刹那、瞬足、加速を使い全ての攻撃を避け右のストレート、そして回転の勢いを付け加えた裏拳の計二回の攻撃を加えた、それはあの黒炎に自ら突っ込むこととなり手は殆ど原型を留めておらず骨だけどなったが魔竜よりも素早い再生で既に三分の一は再生が終わっていた。


「ぁ゛ッ、!!ガァ゛アァァァアァァァァッ!?ハァハァハァ、グッ!!」


だがそれでもその痛みはとても常人には耐えられる物では無かった。

その痛みとは感覚が限界まで研ぎ澄まされた状態で生きたまま自分の肉体を少しずつ抉られる様な痛みだった。

だがこれまで何度も死を経験してきた神楽だからこそ耐えられたのだろう。


「あぶな、かった、、危うく骨人間にすら成らずに死ぬとこだった、でも、あんな属性なんてあった、いやアイツらは魔物だしな、、、今はそんな事考えるのはやめだ、今までずっと使い続けてきた今となっちゃ相棒の毒牙の短剣、これなら遠距離も出来る、魔法が使える、じゃあ行くぞ?、スゥ〜斬撃風刃ッ!!」


神楽が放った斬撃は飛んでいき魔竜の腕を切り裂き深い傷を作った。

その事に気付いた魔竜は耳をつん裂く程の一際大きな咆哮を放った後その魔竜が保有している膨大な魔力を此処、奈落に放出した。


「急に、はっ後ろか——後からやって来た黒炎に反応し咄嗟に避けようとするも間に合わず心臓と左半身台部分が黒炎に巻き込まれててこの戦いで初めてかがは命を落とした。

だが何度も死んだお陰かそのせいかレベルが上がり直様復活し、何が起こったのかを考え始めた。



「クソッ、もう死んだ、後死ねるのは二、三回程、考えられるのは魔之真髄、でもどうしてだ?アイツは確かに目の前に、遠隔?、いやだとしたら気づかないはずがない、気付く、、、魔力が充満した空間、魔之真髄、それはなんの真髄だ?、魔力、魔法、そして魔術、まさかッあの黒炎は魔法?、スキルじゃない、なら、、いやでもスキルでも魔力は使う、なら魔力関係の何か?それがたとえなんだとしてももう此処はイレアの領域内か、不味いな、まぁだからといって逃げ回っても簡単に殺される、アイツがそんな隙を見逃すはずもない、なら今回も、見切るそれしか無い、ならそれを選ぼう俺は必ず、勝ってみせる、お前にな」


そう、あの魔竜は自身の魔力を放出する事でそのまま放出された外川の魔力を使いその場でスキルを使っていたのだ


『ドォ゛ラ゛アァァ゛ァァア゛ァァァ゛ァァァァァァ゛ァァァァア゛ッ!!』


「ッ!?これは激昂化か、短時間で勝負を決めに来た、魔力がない?いや消耗度返しの諸刃の剣、今回を耐え切れば勝機があるなら、こっちもリスクがとか言ってるわけにはいかなくなったな、文字通り極振り、全力でやらないとな」


『グラ゛ァァァァァァア゛ア』

「ハハっそうだな、此処までは様子見、これからが、第二ラウンドからが本番だ」


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