第5話
ラウルは嫌な夢をみた。
両親と兄が何処かへ旅立つ夢。
それを必死に追いかけるラウル。
どんなに必死に走ろうとしても体は重く進まない、叫んで何かを伝えようにも喉が詰まり声が出ない。
そんな夢。よく見る夢。
「はっ!」
「起きたわね。大丈夫?とても魘されていたようだけれども」
「ああ、大丈夫だ…」
いつものことだ。嫌な夢だがもう慣れた。そんなことを考えながら、ラウルは起き上がろうとする。すると全身に痛みが走り、自身が訓練して倒れたことを思い出す。
「全然怪我が治ってないな。やっぱりあんな訓練は無茶なんじゃないか?」
「そんなことないわ、本来あなたの能力ならインターバルの1分で回復できるはずよ。まあ能力の使い方次第ってこと。そこら辺は今から説明するわ」
怪我する前に説明してくれよ、と思いながらも言い返す力も無く、まずはクラリスの話を聞くことにした。
「まずあなたが手に入れた力について説明するわ。一言で言うと外なる力を使う能力よ」
「外なる力?」
「そう、本来人間は自身が持つ力だけを使って生活しているよね。食物を摂取しそこから得られるエネルギーで筋肉を動かし活動する。まあ当たり前のことね。けどね本来世界はエネルギーで溢れているのよ。ただ目には見えないし普通は感じることもできないだけ。我々一族はその使い方を知っているの。そしてそれを伝えることもできる」
「知るだけで使えるものなの?」
「そうね。なんなら我々に接触して使っているところを見るだけでその力には目覚めるわ。もちろん力を得ようとする人だけだけどね。あなたの今の状況がそれね。あとはそれを意図的にやるだけ、それで能力は圧倒的に飛躍するわ」
「なるほど…」
「想像してあなたの周りにはエネルギーで溢れている。そのエネルギーが怪我した所に集まる。すると徐々に怪我が治る。わかりやすい怪我から治しましょう。手の甲のスリ傷、そこにエネルギーが集まりキズを癒やす。できる限りリアルな想像をして、まずはカサブタができて、そして端から徐々に皮膚が癒着していく」
ラウルは目を瞑り言われたようにイメージする。しかし中々キズは治らない。
「エネルギーが集まっていないわ。もっとエネルギーを具体的にイメージしましょ、私は波をイメージしてるわ。体の周りに漂う波、しかしそれは質量を伴い、手で掴むことさえできるの。それが体を伝い手の甲に集まる」
ラウルは再度集中する。
「いいわ、エネルギーが集まりだした。その調子よ」
手の甲が徐々に温かくなる。
「オーケー。自分で見てみなさい」
目をゆっくり開き手の甲を見ると傷がなくなっていた。
「少しは体感できたかしら。これがあなたの能力よ」
「ああ...凄いな」
「とりあえず今日は怪我を治すことに専念なさい」
「了解...!」
ラウルは痛みも忘れ自らの能力にワクワクしていたのだった。
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名前: ラウル ブラウン
性別:男
年齢:18
体力:101(+6)
力:43(+3)
素早さ:45(+7)
魔力:25
運:11(+1)
スキル:超回復
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