さすがのミアラッハも自信喪失しています。

 大迷宮の第五十五階層の中ボスは?

 グレータードラゴンでした。

 雷属性らしく、紫電を身にまとっています。


 ミアラッハと自分に〈サンダープロテクション〉をかけておきます。

 今更、成竜が現れたところで何の問題もありません。

 私の〈ドラゴンスレイヤー〉〈砕破〉で首を一刀両断にしてやりました。


「普通、ここは苦戦するところなのにね。私の魔槍もグレータードラゴンの鱗には効果が薄いみたいだし」


「とはいえ半端な武器や魔法は効果がそもそもないので、傷をつけられるだけミアラッハの魔槍は凄いんですけどね」


「……そろそろ私、足手まといになってない?」


「そんなことありません。いつも前衛に立ってくれているミアラッハがいてこその迷宮攻略ですから」


「それならいいんだけど……」


 並み居る強敵に、さすがのミアラッハも自信喪失しています。

 元気づけたいですが、下手な言葉をかけても逆効果でしょうか。


「ミアラッハが六人いれば、グレータードラゴンも倒せますよ。むしろたったふたりでグレータードラゴンを相手にしている現状がおかしいんです」


「それ自分で言う?」


「仕方ないじゃないですか。ミアラッハ並みの冒険者がいないんですから」


「そうなんだよね。私たちくらい強いひとがもうあと四人いれば、フルパーティが組めるのにね」


 ですがいないものは仕方がないのです。


 第六十階層までの道中では、スケルトンジェネラルやヘカトンケイルなどが現れるようになりました。

 スケルトンジェネラルには〈イクソシズム〉で消滅願いまして、ヘカトンケイルには瞬殺コンボが有効です。

 ミアラッハの投擲〈死棘〉もヘカトンケイルを殺すのに十分な威力があります。

 まだまだ強いですね、ミアラッハと魔槍は。


 第六十階層にたどり着きました。

 中ボスは……ヴァンパイアエンペラーとヴァンパイアパラディン十二体です。

 エンペラーの補正でヴァンパイアパラディンたちが強化されているようですね。


 ヴァンパイアパラディンたちがヴァンパイアエンペラーの指揮により一斉に突撃してきます。

 ヴァンパイアエンペラーを倒してクラス補正と指揮効果を打ち消したいところですが、取り巻きのヴァンパイアパラディンたちがそれをさせまいと襲いかかってきます。


 〈ディメンションスピア〉を使った瞬殺コンボでヴァンパイアパラディンの数を減らします。

 心臓を貫かれたヴァンパイアパラディンが灰に変わりました。

 ミアラッハも〈死棘〉でヴァンパイアパラディンを一体ずつ屠っていきます。


 ヴァンパイアパラディンは堪らずに無数のコウモリに変身しましたよ。

 小さなコウモリの戦闘力は低いのですが、数が多いので黒い霧のように渦巻いています。

 ミアラッハが引いていきますね、彼女の槍術ではあの数には対応できないでしょう。


 さてこんがり焼いてやりましょうかね!!

 私は〈フレイムストーム〉を同時発動してコウモリを焼き払います。

 ゴウゴウと渦巻く炎がコウモリをウェルダンに仕上げていきますね。

 ヴァンパイアパラディンはこれで全滅です。

 あとは自身には補正の乗らないエンペラーが単独でいるのみです。


 ただしレベルが高かったのか、意外と良い動きしてましたね。

 ミアラッハの〈死棘〉で死にましたけど。


 目標である第六十階層も無事にクリアできましたね。

 手を繋いで転移魔法陣へ。


 * * *


 帝国へ戻ったら、素材を冒険者ギルドに卸します。

 首をはねたグレータードラゴンは、比較的綺麗なので剥製にできる、とのことで解体して帝国の城に飾ることにしました。

 ただし解体ナイフが鱗に通らないらしいので、ちょっと明日は〈ドラゴンスレイヤー〉で解体を手伝いたいと思います。

 なのでグレータードラゴンは一旦、〈ストレージ〉に仕舞いました。


 さて師匠のところで蒸留器を受け取ります。

 最後の残り十台です、これでようやく百台の蒸留器が完成しました。


「お疲れさまでした、師匠。ヒルダさん」


「まったくじゃ。しかし食事処でブランデーが飲めるようになったのは、わしらの功績じゃな」


「ちゃんと行き渡るようになったんですね。それは良かったです」


「うむ。報酬を貰えるかの」


「はい」


 師匠にはオリハルコンとヒヒイロカネのインゴット。

 ヒルダにはホワイトドラゴンの鱗と薄皮でしたね。


 さて報酬も渡したし、第二階層へ。

 百台の蒸留器が並びます。

 壮観ですねえ。


 さて城へ戻ったら、リンの教師役を用意せねばなりません。

 種族はヴァンパイア。

 性別は女性で、クラスはティーチャー20レベル、グラップラーとチャンピオンをレベル20です。

 スキルはレクタリス地方語、算術、礼儀作法、宮廷語、教育、闘気法、素手格闘、投げ、関節技、気配察知、気配遮断、絶対記憶、不眠不休、真祖を覚えさせます。

 【?】がみっつあるので、確定させましょう。

 【速読】【練気】【真闘気法】でした。

 名前はヘレンにします。


《名前 ヘレン

 種族 ヴァンパイア 年齢 0 性別 女

 クラス ティーチャー レベル 20

 スキル 【爪】【牙】【吸血】【再生】【視線】【真祖】【吸血鬼語】

     【レクタリス地方語】【算術】【礼儀作法】【宮廷語】【闇魔法】

     【闘気法】【真闘気法】【練気】【素手格闘】【投げ】【関節技】

     【気配察知】【気配遮断】【教育】【速読】【絶対記憶】

     【不眠不休】》


「ではヘレン。明日からリンという女の子を未来の教師として教育してください」


「かしこまりました、マスター」


 そういえば教材も図書館もありませんね、この国。

 ちょっと明日は本を大人買いしてきましょうか。


 夕食を終えたら、リュートを奏でながら食後の時間を過ごします。

 そしてミアラッハに「おやすみなさい」を言ってから、オーガ先生のもとへ。

 素手格闘は面白いのですが、効率はよくありません。

 ここは剣で瞬殺していくのがいいでしょう。

 さあハーミットを鍛えますよ!!


 ……。

 …………。

 ………………。


 よし、ハーミットのレベルが100になりました。

 日がのぼる前ですね。

 さて最後のスキルは?

 【不滅】です。

 死んでも時間経過で復活するようですね。

 さすがハーミット、人間離れしたスキルをぶっこんできます。


 転職を起動します。


《【転職】

 ハーミット(レベル100)

 ノーブル(レベル55)

 ファイター(レベル61)

 スカウト(レベル68)

 フェンサー(レベル52)

 ランサー(レベル52)

 ライダー(レベル62)

 グラップラー(レベル31)

 プリースト(レベル20)

 メイジ(レベル40)

 ブラックスミス(レベル50)

 アルケミスト(レベル26)

 マーチャント(レベル1)

 オフィシャル(レベル1)

 メイド(レベル1)

 トリックスター(レベル28)

 テイマー(レベル60)

 バード(レベル29)

 ダンサー(レベル50)

 ロード(レベル25)

 ウォーロード(レベル26)

 カースドナイト(レベル1)

 アサシン(レベル21)

 ハンター(レベル1)

 エクスカリバー(レベル100)

 グングニル(レベル36)

 ドラゴンナイト(レベル1)

 チャンピオン(レベル20)

 ビショップ(レベル23)

 オラクル(レベル1)

 セージ(レベル24)

 ウィザード(レベル100)

 サモナー(レベル60)

 ネクロマンサー(レベル1)

 パペットマンサー(レベル20)

 パラディン(レベル30)

 モンク(レベル21)

 ルーンナイト(レベル22)

 バトルマスター(レベル28)

 セイント(レベル61)

 ダンジョンマスター(レベル100)

 エンペラー(レベル100)》


 次はセイントかな。

 ルーンナイトも魔法武器化をもたらした有能クラスですから、いずれはレベル100にしてみたいものです。

 とはいえ先にセイントですが。


《名前 クライニア・イスエンド

 種族 人間 年齢 15 性別 女

 クラス セイント レベル 61

 スキル 【日本語】【レクタリス地方語】【ルテイニア地方語】【算術】

     【礼儀作法】【宮廷語】【全属性魔法】【闘気法】【真闘気法】

     【聖闘気】【練気】【仙術】【呪歌】【魔曲】【舞踏】【馬術】

     【騎乗】【人馬一体】【錬金術】【魔法付与】【鍛冶】【量産】

     【人形使役】【剣技】【剣術】【葬剣】【剣理】【槍技】【槍術】

     【葬槍】【鎚技】【二刀流】【多刀流】【武器伸長】【霊鎧】【聖殻】

     【素手格闘】【投げ】【関節技】【格闘術】【回避】【対人戦闘】

     【先の先】【後の先】【魔法斬り】【鎧貫き】【突撃】【気配察知】

     【罠感知】【罠設置】【魔力制御】【魔法範囲拡大】【魔法収束】

     【魔力自動回復】【同時発動】【多重魔力腕】【消費魔力軽減】

     【多重詠唱】【無詠唱】【魔法武器化】【魔力強化】【耐性貫通】

     【怪力】【宗匠】【俊足】【跳躍】【魅力】【気品】【美声】

     【カリスマ】【威厳】【獅子心】【幸運】【夜目】【鷹の目】

     【過去視】【未来視】【夜の王】【毒無効】【不眠不休】【誘惑】

     【威圧】【畏怖】【指揮】【鼓舞】【士気高揚】【戦技教導】【福音】

     【変身】【光輪】【光翼】【飛翔】【不滅】【絶対命令】【魔法創造】

     【剣術創造】【創世神信仰】【神託】【シャルセアとの絆】

     【ルマニールとの絆】【ヨルガリアとの絆】【アルマルドとの絆】

     【小型召喚】【騎獣強化】【迷宮管理】【迷宮帰還】【迷宮の申し子】

     【迷宮外設置】【迷宮介入】【迷宮破壊】【経験値20倍】

     【熟練度20倍】【転職】》


 朝になったら朝食を摂って、まずはリンをヘレンに会わせるところからですね。

 幸い、リンは朝食後に間もなくやって来たので、ヘレンに与えた部屋で教育をしてもらいます。

 まずは礼儀作法、宮廷語あたりからでしょうか。

 リンは絶対記憶をもっているので、すぐに覚えることでしょう。


 さて冒険者ギルドへ行ってグレータードラゴンを解体しましょう。

 解体のプロに教わりながら、ナイフサイズの〈ドラゴンスレイヤー〉で解体していきます。

 午前中でなんとか解体し終えることができました。

 後は肉や内臓、血液を素材として売却して、残った部分を剥製にしてもらいます。

 剥製の完成は何ヶ月かかかるらしいので、専門の業者に任せることになりました。

 どうやら魔物の剥製は王侯貴族に一定の需要があるらしく、国境の街に住んでいた職人が今、ウチの帝国に拠点を移しているらしいですね。

 剥製のことは冒険者ギルドに任せて、私は本を購入すべくキウス王国の王都へ向かうことにしました。


 久々にアルマルドを召喚して、ひとっ飛びです。


 王都についたら、門から離れたところに着地。

 徒歩で門を通り抜けて、本屋巡りです。


 必要だと思った本を片っ端から買い込んでいきます。

 お金は余っているし、〈ストレージ〉もあるので余裕ですね。

 本屋を二~三軒まわっていると、外務卿のライアンが騎士を連れてやって来ました。


「クライニア皇帝! ご無沙汰しております」


「ライアン外務卿。どうかされましたか?」


「いえ、クライニア皇帝がいらっしゃっているのですから、外務卿である私が出迎えるのは当然のことです。できれば先触れなどがあればありがたかったのですが……」


「そうでしたか、すみません。今日は急遽、本が欲しくなったので買い漁っているところです」


「庶民街の本屋だけでよろしいでしょうか? 貴族街の本屋にも案内できますが」


「え? 本当ですか、是非お願いします」


「かしこまりました」


 貴族街の本屋は装丁に宝石などを使っている分、高級品でしたが、内容は庶民街にないものもあったので、遠慮せずに購入していきます。

 金貨にしておおよそ数百枚ほど使ったでしょうか。

 ぶっちゃけ収入の方が多いので、なんの問題もありません。


「クライニア皇帝、そんなに本を購入されて、一体どうされるのですか?」


「帝国に教育機関を作ろうと思っています。今は教師の育成に努めていますが、ゆくゆくは学舎などを整えねばならないと思っています」


「なるほど。教育は重要ですね」


「なにぶん新興国なもので、教材や本がまったくないのですよ。そこでキウス王国の王都で本を購入することにしました」


「クライニア帝国からは竜の素材などが流れてきています。あれはどこの迷宮の産物ですか?」


「迷宮都市キャストルリアーヌの大迷宮ですよ」


「なんと。あんな遠方の迷宮に潜っておられるのですか?」


「転移魔法で一瞬ですよ」


「ああ、なるほど……」


 そんな話をしてから、門で見送られました。

 アルマルドを召喚したときは外務卿たちも驚いていましたが。


 城に戻ったら、一応あった図書室に本を収めていきます。

 司書が欲しいので、用意しましょうかね。

 種族はドライアド。

 クラスはセージ。

 スキルはレクタリス地方語、ルテイニア地方語、算術、礼儀作法、宮廷語、速読、写本、絶対記憶を覚えさせましょう。

 ドライアドは種族の特性として、睡眠不要なので不眠不休を覚えさせる必要はありません。

 スポーンを『4/4』にして本の管理を任せます。

 取り急ぎ教材になる本や、学舎に入れておきたいものを写本をしてもらうことになりますね。

 DPからだと割高なので、セバスチャンにお金を渡して紙を仕入れてもらうことにしました。

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