ですが、望み薄ですよ?

 師匠がまた十台、蒸留器を仕上げてきたので、こちらも回収に伺います。

 蒸留所には四十台の蒸留器が並びました。

 これでかなり増産できているはずです。

 樽をDPで増やしておきました。

 寝かせる分を増やしておこうという腹ですね。


 さて夕食をとったら、腹ごなしにリュートを引いて、オーガ先生のもとでエンペラーを鍛えます。

 皇帝レベル100ではどんなスキルが手に入るのか、今から楽しみですね。


 しかし早朝まで粘ったものの。レベルは91で止まってしまいました。

 さすがにレベル60からカンストまでは行きませんか。

 まあレベル80のスキルが増えますから良しとしましょう。

 新しいスキルは?

 【士気高揚】です。

 エンペラーのクラス補正を広範囲に適用できるようになり、その名の通り恐怖などを感じなくなる副作用もあります。

 正直、使い勝手はそう良くないですね。

 大軍勢を率いる場合には使えますが、現状は宝の持ち腐れです。


《名前 クライニア・イスエンド

 種族 人間 年齢 15 性別 女

 クラス エンペラー レベル 91

 スキル 【日本語】【レクタリス地方語】【ルテイニア地方語】【算術】

     【礼儀作法】【宮廷語】【全属性魔法】【闘気法】【真闘気法】

     【聖闘気】【練気】【仙術】【呪歌】【魔曲】【舞踏】【馬術】

     【騎乗】【人馬一体】【錬金術】【魔法付与】【鍛冶】【量産】

     【人形使役】【剣技】【剣術】【葬剣】【剣理】【槍技】【槍術】

     【葬槍】【鎚技】【二刀流】【多刀流】【武器伸長】【霊鎧】【聖殻】

     【素手格闘】【投げ】【関節技】【格闘術】【回避】【対人戦闘】

     【後の先】【魔法斬り】【鎧貫き】【突撃】【気配察知】【罠感知】

     【罠設置】【魔力制御】【魔法範囲拡大】【魔法収束】

     【魔力自動回復】【同時発動】【多重魔力腕】【消費魔力軽減】

     【多重詠唱】【無詠唱】【魔法武器化】【魔力強化】【耐性貫通】

     【怪力】【宗匠】【俊足】【跳躍】【魅力】【気品】【美声】

     【カリスマ】【威厳】【獅子心】【幸運】【夜目】【鷹の目】

     【夜の王】【毒無効】【不眠不休】【誘惑】【威圧】【畏怖】【指揮】

     【鼓舞】【士気高揚】【福音】【光輪】【光翼】【飛翔】【魔法創造】

     【創世神信仰】【神託】【シャルセアとの絆】【ルマニールとの絆】

     【ヨルガリアとの絆】【アルマルドとの絆】【小型召喚】【騎獣強化】

     【迷宮管理】【迷宮帰還】【迷宮の申し子】【迷宮外設置】

     【迷宮介入】【迷宮破壊】【経験値20倍】【熟練度20倍】【転職】》


 さて本日は大迷宮、第三十階層を目指しますよ!!

 基本魔法と光魔法の複合魔法〈マッピング・ラビリンス〉を使います。

 この魔法は【魔法創造】で作り出した、迷宮を自動的に探索してマッピングを行い結果を表示するという魔法です。

 これで迷わずに進むことが出来ますよ。


「クライニア、その魔法は何? 見たこと無いんだけど」


「これはですね、私が作ったオリジナルの魔法なんですよ」


「は? 魔法を作るって……、一体なにごと」


「そういうスキルがあるんですよ」


「クライニアに勝てる生物ってこの地上に存在するの?」


「創世神様によれば、古代竜くらいなものだそうです」


「古代竜ってほとんど神様みたいなものじゃない」


「そうですよ。まあそのうち、倒せるようになる予定です」


「そうなんだ……」


 ミアラッハは呆れた様子で言いました。


 さて第三十階層です。

 ここの中ボスは?

 ミスリルゴーレムです。

 武器も魔法も効かない厄介な相手ですね。

 そう、普通ならば。


 ミアラッハの魔槍はあっさりとミスリルゴーレムの装甲を貫きました。

 私の〈ディメンションスピア〉もミスリルだろうと関係なく貫通します。


 胴体にあるコアを一撃で破壊したらしく、ミスリルゴーレムは停止しました。


 全身がミスリルなので、素材としては破格の価値があります。

 〈ストレージ〉に仕舞いましたよ。


 手を繋いで、転移魔法陣に乗ります。

 マッピング魔法のおかげでかなり時間短縮できましたね。

 明日からは十階層ずつ潜ってもいいかもしれません。


 そんなことを考えながら家までの道のりを歩いていると、“槍聖”ガウディオと会いました。

 どうやら私たちを待っていたらしいです。


「クライニア。どこかで聞いたことがあると思ったら、キウス王国にできた迷宮帝国の名前だな」


「そうですね」


「まさか国ふたつ跨いで迷宮都市に来ているとは思わなかったよ。皇帝自ら大迷宮に何の用事だ?」


「最初はただ単純に迷宮の攻略をするために来ていたんですけどね。神託が来てちょっと事情が変わりました」


「神託だと……? オラクルのか?」


「はい。大迷宮は危険だから、破壊しろとのことです」


「迷宮を破壊する? そんなことが可能なのか?」


「私ならできますよ」


「何を根拠にしている」


「そういうスキルがあるんです」


「聞いたこともない。だが迷宮を作り、管理し、帝国を興したクライニアならば、破壊もできるというわけか……しかし待て。ここの大迷宮を破壊するだと?」


「そうですよ」


「大迷宮に入って生活している人間がどれだけいると思っている。そいつら全員、失業させるつもりか?」


「大迷宮は創世神いわく、複数の迷宮を取り込み、将来的に人類の手に負えなくなるそうです。だから最初に破壊しなければなりません」


「……確かに。迷宮がこれ以上、難易度を上げれば手に負えなくなるだろう。だが数百年、あるいは数千年の後の話じゃないのか?」


「迷宮を破壊できるスキルを持つこの私のような存在が、再び現れるならいま破壊する必要はないかもしれません。ですが、望み薄ですよ?」


「しかし……いやだが……」


「破壊の指令は創世神からの神託です。主神の意向を無視しろと私に向かって言いますか?」


「……その話、冒険者ギルドにしても構わないか?」


「妨害してくるのなら、排除しなければならなくなります。混乱を助長するだけですよ」


「そうだな。……大迷宮のない迷宮都市か。想像もつかん」


「用事は終わりましたか? それでは失礼します」


「ん、ああ……」


 ガウディオは私たちを見送りました。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る