この国の主産業のひとつにしたいので。

 夕食後、リビングでのんびりしている時間。

 私は自分のステータスを確認する。

 下級クラスゆえ、バードのレベルが22になっていた。

 新しいスキルが増える。

 あまり期待していないけどね、バードだし。

 しかしトリックスターから幸運が出たように、美味しいスキルが出る可能性も捨てきれない。

 なんだかんだで【?】を開けるのは楽しい瞬間なのです。

 新しいスキルは?

 【美声】でした。

 まあ悪くないかな。


 転職を起動する。


《【転職】

 バード(レベル22)

 ノーブル(レベル35)

 ファイター(レベル24)

 スカウト(レベル33)

 フェンサー(レベル29)

 ランサー(レベル27)

 グラップラー(レベル31)

 プリースト(レベル20)

 メイジ(レベル22)

 ブラックスミス(レベル36)

 アルケミスト(レベル26)

 マーチャント(レベル1)

 オフィシャル(レベル1)

 メイド(レベル1)

 トリックスター(レベル28)

 ダンサー(レベル1)

 テイマー(レベル1)

 ロード(レベル25)

 ウォーロード(レベル26)

 カースドナイト(レベル1)

 アサシン(レベル21)

 チャンピオン(レベル20)

 ビショップ(レベル1)

 ウィザード(レベル22)

 セージ(レベル24)

 サモナー(レベル26)

 ネクロマンサー(レベル1)

 パペットマンサー(レベル1)

 パラディン(レベル1)

 モンク(レベル1)

 ルーンナイト(レベル22)

 ハーミット(レベル2)

 バトルマスター(レベル28)

 ダンジョンマスター(レベル21)

 エンペラー(レベル20)》


 ん、下級クラスにダンサーが増えている。

 歌って踊れと?

 いやそれより戦力を増強しておきたい。

 パペットマンサーになることにした。

 以前、迷宮で入手した人形が死蔵されているしね。


《名前 クライニア・イスエンド

 種族 人間 年齢 15 性別 女

 クラス パペットマンサー レベル 1

 スキル 【日本語】【レクタリス地方語】【算術】【礼儀作法】【宮廷語】

     【全属性魔法】【闘気法】【練気】【仙術】【呪歌】【魔曲】

     【錬金術】【魔法付与】【鍛冶】【量産】【剣技】【剣術】【槍技】

     【槍術】【二刀流】【多刀流】【武器伸長】【素手格闘】【投げ】

     【関節技】【対人戦闘】【気配察知】【罠感知】【罠設置】【鎧貫き】

     【魔力制御】【魔法範囲拡大】【魔力自動回復】【同時発動】

     【多重魔力腕】【消費魔力軽減】【魔法武器化】【魔力強化】【怪力】

     【俊足】【気品】【美声】【カリスマ】【幸運】【指揮】【鼓舞】

     【福音】【光翼】【創世神信仰】【シャルセアとの絆】

     【ルマニールとの絆】【ヨルガリアとの絆】【迷宮管理】【迷宮帰還】

     【経験値20倍】【熟練度20倍】【転職】》


 〈ストレージ〉から人形を取り出す。

 おっと、自動で魔力のパスが繋がったようだ。

 意識すると、人形が立ち上がった。


 おお、自律行動するのか、これ。


 特に攻撃目標もないので、おとなしくしている。


 ミアラッハが信じられないものを見るような目でガン見してきたが、気にしない。

 次の迷宮攻略では活躍してもらおう。


 翌朝、冒険者ギルドへ向かった。


 大抵の迷宮品はDP消費で作成できる。

 しかし自在に生成できる代償なのか、特に戦闘に関する物品の生成には多くのDPが必要になるのだ。

 だからダンジョンで入手した迷宮品で、使い勝手の良いものは確保しておくに限る。


 今回の場合、王冠とミアラッハの絵画、そして投げ縄がそれだ。


 王冠は、精神抵抗力を上昇させるという効果を持つ、なかなかの一品だった。

 さらに身につけていると、【泰然自若】のスキルの恩恵を受けることができる。

 泰然自若はその名の通り、常に自然体でいられるというありがたいスキルだ。

 冷静さを失わずに様々なことに対応するのは、皇帝として必須技能であるからありがたい。


 ミアラッハの絵画には特に魔法的な効果はない。

 以前もあった、芸術性の高さが際立つ美術品だ。

 ミアラッハは手紙と一緒に、ブライナー家に送るそうだ。


 投げ縄はテイマー用の迷宮品で、これで捕らえた魔物はしばらく大人しくなる。

 その間に、なんとか懐柔して、テイムしろというアイテムだ。

 いずれテイマーになるのもアリなので、確保しておこうと思う。


 今日は休日にした。

 イフリート迷宮の攻略は急ぎではない。


 ゆえに蒸留器の様子を見に師匠のもとへ。

 すると何故かヒルダもいた。


「ヒルダさんが師匠の店にいるのは珍しいですね」


「なによぉ。お酒を美味しくする道具を作っているなんて……ひとことくらい、声をかけてくれてもいいじゃないの」


 おう、酒にかけるドワーフの執念、恐るべし。


「すみません。そうですね、確かに仰るとおりでした」


「私もグラスワーカーになれるんだからもう! それより、蒸留器、完成したわよ」


「え、本当ですか!?」


 師匠が「嘘を言ってどうなる」と言いながら、ボコボコとアルコールを沸騰させている。

 温度管理は迷宮品のコンロを利用することにしたらしい。

 温度管理が楽になるからだ。


 出来上がった蒸留酒をひとくち舐めさせてもらった。

 うん、アルコール度数が上がってるね。


「酒精は強くなったが、味は少し物足りないのう」


「樽に何年か寝かせると、美味しくなりますよ。城の料理長が醸造スキルを持っているので、任せるといいでしょう」


「何年も待つのか……」


「果実を絞って入れて味を整えたりすれば、今のままでも美味しく飲めるのではないですか?」


「混ぜものをすればまあ確かに飲める味になるじゃろうな」


「ひとまず幾つか納品してもらいたいです。こちらで酒の蒸留や醸造をして、この国の主産業のひとつにしたいので」


「おう、分かった。美味い酒のためじゃ。具体的に幾つ欲しい?」


「とりあえず十個お願いします」


「大量生産する気じゃな。いいじゃろう、作ってやる」


 蒸留器が出来上がったのは朗報だ。

 これでこの国の名産品が増える。


 やることがなくなってしまったので、城に戻った。

 ミアラッハは今日はお菓子作りの日らしく、厨房にいる。

 私はバードにクラスチェンジして、部屋でリュートの練習をすることにした。

 呪歌も鍛えたいので歌曲だ。


 その日のデザートに、ミアラッハの作った桃のタルトが出てきた。

 大変、美味しゅうございました。

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